LA DISPUTE/Somewhere At The Bottom Of The River Between Vega And Altair

★★★★☆

ミシガンのポスト・ハードコアバンドによる1stフルが凄すぎて笑った。ハードコア本来の熱量と、それを捻じ曲げるプログレメタルの変態性、端々でアゲにかかるダンサンブルな煽情性をもクールに取り混ぜぶっ放すセンスに脱帽。側頭を直撃する激性と、ドラマティックを産み出すカオスが見事に入り混じるサマに唖然。

超メランコリックな"Such Small Hands"をイントロに開く熱き音物語。のっけから気を吐くJordan Dreyerのテンションがとにかくヤヴァく、息継ぎパート不明の勢いで畳み掛けるコレに半ば引きずられるようにして、全像が一挙ドライヴして炸裂。迸る激情も揺れ惑う情感も、全てが激すテンションに担がれドラマティックに理性を砕く。

各パートで視れば決してテクニカルではないのだが、そのリフ/リズム/フレーズを掛け合うセンスがとにかく抜群。絶妙なテンポチェンジに乗じた弩直なパーツの波状によって、異常なドライブ感を体感させるのじゃ。Tr.4"Damaged Goods"とかTr.8"Poltergeist"なんて一回聴いてみてほしいものですな、マジでカッチョイイので。終盤で遅燃焼性の楽曲を立て続けに並べ立て、やや自己完結ドラマに酔っちゃってる部分はマイナスながら、プログレッシヴな構成でアタマへと回帰する構成含め、非常に精度の高いナイスな作品。FALL OF TROYをよりモダンな視点から再構築したような楽曲は、一般へのアピール度もかなり高そうでございます。

Vancouver

★★★★☆

デビュー・フルが08年のBEST選に入るぐらいツボった、USミシガンのドラマティックHCバンドによる06年発、8曲30分超を収録したEP。ってか音の沸騰っぷりではアルバムを凌いじゃってるかも。なんだこの熱さは。

日常をほとんどイッっちゃってる熱気で燃やし尽くすと言いますか、パーソナルな激情ドラマティックの度合いが半端でない。なにが凄いってまぁヴォーカルの歌いっぷりが尋常でないのですよ。エモーショナルなんてぇ形容がぬるま湯に思えるほどの渾身、入魂の絶叫がぶっ刺さる。よう聴くとかなりちゃちい場面もあるインストも、噴出し続ける異様な熱気の前には無問題。ってか完全にVoを「歌わせる」方向で動いてるよね、このインスト。感傷にまみれまくるパートから、切り裂くように悲痛な叫びへと没入していくむちゃくちゃ私的な「ドラマ」に、知らず同期させられていく昂揚感がたまりまへん。それこそ「世界の中心で愛を叫ぶ」様相を呈すTr.4"To Withstand The Force Of Storms"を筆頭に、クサクサの、なんだけどもその蒼さがモロクソの勢いで琴線を揺さぶるキラー・サウンドが詰め込まれています。

Wildlife

★★★★☆

リミッターを外された感情が鮮やかに踊る過剰熱的ハードコア。その後ろには真っ白な灰しか残らない激越した音の、研ぎ澄まされたエモーションが全篇を舐め尽くす。

嘆き叫びあるいは哀切に満ちて語りかけながら、その等身大のフィーリングをしかし息苦しいまでに過剰な熱量で放出するヴォーカリスト/Jordan Dreyer。彼の圧倒的なパフォーマンスを煽り立てるように、ギターが咽び、ドラムが猛り、旋律が踊りリズムが炸裂する。凝縮され、鋭い明度を放つ楽曲群が緩急高低を駆け巡りながら展開するサマは圧巻。激情×激情の積算が、武装ではなく生身のフィーリングを剥き出しにする形で響く特異なサウンド。この過剰であるがゆえの透明な情感のフィーリングには、ちょっと他のハードコアバンドに無いユニークさを感じたりもする。そのデビュー盤と比べると、スリリングに疾走するキラーチューンは減ったようにも聴こえるが、代わって濃密にエグり込まれた感情の淵がそのグルーヴの深さを増して響く。とにかくもう、格好良すぎだコイツら!

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