INDRICOTHERE/S.T

★★★★

史上最大の陸生哺乳動物の名を冠した馬鹿テクprog-metal。"HELLAバーサスMASTDON"なんて無茶苦茶な形容も頭に浮かぶ、圧巻のエクスペリメンタル・ミュージック。

一体この男(後述する)の頭ん中はどーなってんのか!?常人からすれば完全に未知なる領域へと踏み込んだ、異様なHEAVY WALLの建築ラッシュはただただ圧巻。リズムを聴いてみよう。それはまるで武器格納庫に引火したような爆裂具合。マシンガンがグレネードが地対地ミサイルが激しく空気を切り裂き唸りを上げて突き刺さる。ギターを聴いてみよう。ブラストビートにイヤイヤをする翼竜のようなメロディック・リフはそのギラつきがなんとも艶かしい。しかしそのマッシヴな巨体が捻転する度に地上の建造物は地響きと共に粉砕され、更地にはまたもや新たな建造物が高速で打ち建てられていくのです。驚異的な速さで行われるその破壊と創造のサイクルに、現状認識はほぼ不能。え?なになに?なんか来てるって?ナニが・#%”&!$#!!!みたいな。

・・・意味不明な物言いを並べ立てたが、楽曲にはストレートな快楽要素が満載で大暴れ。刻みたてられるリフは確実にアタマを縦に振らせ、シンセを絡めたメロディックフレーズが絶妙な風通しを確保しながら、全像を圧倒的なグルーヴが呑んでいく。分裂症めいて破断する音像は、しかし全ての楽曲においてきっちりと定められたカタルシスを描いており圧巻。

こんな芸当をやってのけるのは、ご存知(?)律動不整(=Dysrhythmia)男、Colin Marston。本作は彼の最新ソロ・プロジェクトにあたる。プログラミング・ドラムを使って、たった1人でこんなモン作っちゃうこの人ってばマジ天才。凄すぎる。ちなみにフォーマットはLPにCDが付属する仕様になっとります。

http://www.myspace.com/indricothere