GRABOIDS/Infinite Delay

★★★★

ヴァージニア州Charlottesvilleの4人組。おそらく、これがデビューアルバム。部分部分においてアブストラクトで、かつシネマティックな雰囲気のサウンド・スケープは、モロに最初期のMogwaiを思わせる。

深い沈鬱と澄んだセンチメンタリズム織り成す静謐が、ゆっくりと空間を侵食していくパートから、ドラマティックに渦巻く轟音部へ。最下層を埋める重厚なデイストーションと、上層でノタウツ激しいファズ/フィードバック・ノイズの共振は、解放された完璧なフォルムを型作り、轟然と鳴り渡る。

特に、Tr.5"Tremolo"で噴出する轟音部のカタルシスには、ライブ仕様のMogwaiを思わせるまでの強靭さが存在し、まさに音そのものの迫力だけでコチラを呑んでしまう、極めて劇的な昇華作用を持っている。

仄暗く、ムーディーな質感の残響で全体を覆うエフェクト・センスを含め、その音作りの感覚は非常に鋭敏。加えて、ノイズの使い方も非常に巧い。曲間で挟みこまれるドローン系のアンビエンスなど、決して独創的ではないはずのファクターが、いちいち強い印象で響いてくるのは、この2つの要素に因るのかもしれない(メロディが良い、というのも当然あるだろうけど)。ちなみにTr.7"Top Of The Network"では、激ムーディなローズ・ピアノの旋律にラップを重ねるという、Nuccini!ばりのサウンドを演っている。

展開それ自体は手垢の付いたようなものであっても、その音一つ一つの処理方法でこうも刺激的になるのかと、少し違った視点から興奮を覚えた作品。

http://myspace.com/graboids