NUCCINI!/Matters Of Love And Death

★★★★

Giardini Di Miroのギタリスト/Corrado Nucciniが、ベルギーを拠点とするヒップホップバンド/Caveman SpeakのSiazと結成したユニットによる1stアルバム。

凄みすらをも感じさせる、ある種破滅的な雰囲気を湛えた美しいインストゥルメンタルの流麗と、暗い衝動と共に吐き出されるワーズの奔流が、相互に作用し合いながら強い磁場を形成していく。

横溢するディレイギターの大きな揺らぎが、ミディアムテンポのビートに乗って押し寄せる。言いようの無い感傷に捉われるその仄暗い旋律と、Siazの焦燥に満ちたラップの融合が素晴らしい。サクソフォンの哀愁の昂まりと共に疾駆するリズム。美しいディレイが反復し大きなヴェールとなり覆いかぶさるTr.2"The Dinosaur, The Monkey, The Breakdance"

Giardini Di Miroらしい、物悲しいヴァイオリン・ストリングスを中心に組み立てられ、全てをメランコリーの大波でさらっていくTr.3"your Father's Head"、先に紹介したSybariteにも通じるアッパーなダンスビートがエキゾチックに弾け跳ぶTr.6"Tradition & Abstraction"、光に満ちたアコギのメロウな旋律へ、Corradoの繊細な歌とSiazのタフなラップが絡み合うTr.7"Sick Berth"など、嫋やかにして力強く、強靭な一本芯を感じさせる情動に満ちたナンバーが立ち現れては消えていく。

叙情的なストリングスが成す感傷的な展開と、ラップ特有のあの痛々しいまでの焦燥感が、どれも非常に巧く結びついている。どちらの畑のリスナーにもアピールしうるような、仄暗い昂揚感を孕んだ良盤。

http://www.myspace.com/nuccini