ロンドンを拠点に88年頃から活動を続ける4人組/Gallon Drunk。先日、初期3作がリマスターで再発され、初めて耳にする機会を得た。本作は93年リリースの3rdアルバム(厳密な意味でのスタジオレコーディングとしては2nd)にあたる。
どこか自棄気味で、斜めから世界を見上げるアウトロー的なハッタリをかます、豪胆なロックサウンド。ブンブンと振り回される肉感的なリフと、ドランキーな歌い回しで空間を殴りつけるJames
Johnstonのヴォーカリゼーション。AC/DCの垢抜けなさにも似た、土臭い音塊が荒々しく空間を飛び交うオープニング"Jake
On The Make"。続く"Arlington Road"では、そこへサクソフォンやオルガンのジャジーな(しかし洗練とは程遠い)ピースが叩きつけられ、熱気を孕んだ猥雑な喧騒を描き出していく。
そこいらに転がるドラム缶を殴りつけるのにも似た、強烈に歪んだリフがギャンギャンと喚く"Not
Before Time"、加えて"インダストリアル"なんて単語が頭に浮かぶ"Bedlam"では、半ば気がふれたようにノイジーな(それでいて激キャッチーな)ガレージサウンドを叩き出す。オイオイこれってBritish Sea Powerの元ネタかよ!?と思わず鼻息荒くなる、勢いありまくりの偏執的なサウンドは、かなりイカしております。
チェーンソーの唸りから始まる"The Amsterdam Run"は、ムーディーなジャズサウンドと、駆動する雑多な機械音の融合が非常に刺激的な異彩を放ち、作中最もノイジーな瞬間を曝し出す"End
Of The Line"では、狂ったように輪舞する都会の夜の夾雑が、クッキリ浮き彫りにされていく。
図抜けて独創的なサウンドを鳴らしているわけではないのだが、今聴いてもかなり鮮やか、というか昨今のシーンにポンと置いても全く違和感が無さそうなこのサウンド。今年10月には新譜もリリース予定とのことで、何気に自分の中で面白い存在になりそうです。
www.myspace.com/gallondrunk