BRITISH SEA POWER/The Decline Of British Sea Power

★★★★

BSPはブライトンで結成された4人組。このバンド、ライブがとんでもなくテンション高いそうですが(特にボーカルのYan)、このアルバムからもそんなブチ切れた感がビシバシと伝わってくるようなちょっと異質な雰囲気漂う作品。

男性の合唱隊が歌う賛美歌のような30秒足らずのインストナンバーにより幕を開けるアルバムは、続く"Apologies To Insect Life"〜"Favours In The Beetroot Fields"でいきなり加速。飛び交うベースにゴウゴウと打ち寄せるギター、そしてボーカルYanのしゃくりあげるような引き攣った声が途切れ途切れに吐き出される、絶妙にキーの外れたキワモノ的なガレージサウンドを展開。かと思うといきなりグッとトーンダウンし、背後で響くオルガンサウンドと共に叙情的なメロディーをドライブするギターと共に力強く聴かせるTr.4〜6の流れもすごく良い感じ。一見トゲがありそうなサウンドなのに、なぜか全ての音がポンポンと耳に小気味よく飛び込んでくる感じ。そして圧巻なのがTr.10の"Lately"。穏やかで繊細なアコースティックギターと柔らかなドラムの音色から始まるこの曲は、Yanの優しい響きの声とともにゆっくりと昇り詰めていき、美しいピアノの旋律と共にやがて全てを飲み込むかのようにバーストするギターと、ディストートされた感情爆発ボーカルに包み込まれ、14分間に渡る大カタルシスを展開している。とんでもない高揚感を味わえるこの曲は彼らの才能をあますところなく現しています。これからむちゃくちゃ大きくなっていく可能性を秘めた素晴らしいバンド。



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