EVANGELICALS/So Gone

★★★★☆

初期Mercury Revの再来か!
はたまた無邪気なJesus&MC!?

そんなレコ屋のポップの如き形容が思い浮かんだUS/オクラホマの3ピース、Evangelicalsのデビューアルバム。数種の4トラックマシーンや壊れたコンピュータを用いてレコーディングされたという今作は、何とも奇妙に歪んだ音像と、ちょっとなかなかいないよこれはと言いたくなるような、素晴らしくフックの効いたメロディが押し寄せる奇想天外なポップロック。

カラフルな電子音の戯れから導入される本作。Tr.2"Another Day"でいきなり暴走気味に吹き荒れるギターリフ/電子音/奇妙なウーフーコーラスを聞いてしまえば、否応無く頭に浮ぶはBoces期レヴのジャンク・ポップワールド。異常にメロディアスなフレーズと、自棄気味に炸裂するノイジーチューンの融合が凄まじく良い。この上なくキャッチーなメロ、予測不能の展開でこちらを悶絶させる類稀な構築力。確信犯的にネジクレたポップセンスに天賦の才を感じる。

捨て曲など皆無ながら、中でも素晴らしいのがTr.8。
歪んだ空間をフラ〜リフラリと漂うサーフポップは次第に白熱。どんどんどんどん熱くなり、気づけばいつしかそこは分厚いウォール・オブ・ノイズの真っ只中。"I Need Help!!!"と連呼するヴォーカルに導かれ、歪んだギターが笑ってしまうぐらいにカッコ良いソロフレーズを垂れ流す。音景色に生じる怒涛の天変地異。その底知れぬセンスに脱帽。

歪みまくったサイケポップな音像空間という点で、All Night Radioとの共通項も大いに感じられるのだけれど、若気の至りとでも言いたくなる(才能に裏打ちされた)無邪気なロックスピリットの発露が、強烈な求心力となって作用している。またしても意表をつくように、最後はライブ感満載の弾き語りナンバーで締めくくられる全10曲32分。かなりオススメの1枚。

http://www.myspace.com/evangelicals

The Evening Descends

★★★★☆

オクラホマ発、ぶっ飛んだサイケ・ポップを鳴り打ちかます4人による2nd。06年リリースのデビュー盤は、その年のBEST10にも入れた愛聴盤。そのぶっ壊れたポップっぷりに"う〜ん、初期のMercury Rev!"ってな感じで悶絶した記憶があるが、今作はその辺を軽ーく飛び越えた、さらに"トンダ"内容へと突き抜けてる。

冒頭からヘンテコなコーラスとメロメロのシンフォニック・ギター、、、これってもう、Flaming LipsっちゅうよりはQueen(というかフレディ・マーキュリー)の世界感(笑)。フワフワとした夢中感覚のメロディと、ドッカンドッカン炸裂するノイジーなギター・ワーク。そこへカラフルな電子音がフンダンに降り掛けられカラミつき、緩・急・緩・急で振り回された景色は知らず彼方へ吹っ飛んでいく。おもしれー!

Tr.3"Skeleton Man"に至っては、モウナンデスカコレハッ!!!な破天荒イリュージョン。めくるめくポップネスはいつの間にやら白熱し、鳴り響くJosh Jonesの哄笑から一気に爆裂ノイジー・アンサンブルに雪崩れ込むという、一体ワタシはどこで騙されたのかしら?的な唖然の展開を喰らわせてくる。クラエッ!お前、食らえっ!アッぎゃあぁぁあ!!!ってな感じ、ハァハァ。

とにかくこのバンド、要所での暴発具合がかなり突き抜けておりめっちゃ痛快。発狂する楽器に絶叫するヴォーカル、でも空間全体はモコモコと浮遊して掴みどころが無いという、ほとんど悪夢のようなサウンド・スケープ。そしてメロディは果てしなくポーーーーーーップ!なわけで。Tr.7"How Do You Sleep?"から更にアクセルベタ踏みにして、数多の効果音電子音ストリングスと共にコチラを撃ち抜いていくハイブリッドな終盤部もスバラシイ!全くソフトでないサイケ・ポップに頭クラクラになりました。これ、売り方によっては結構ウケそうな感じがする。オススメ。

http://www.myspace.com/evangelicals