EQUILIBRIUM/Sagas

★★★★

ドイツのシンフォニック・トラッド・メタルバンドによる2nd。もう超衝撃的!(笑)みたいな、開いた口が塞がらない系のブチ抜けた豪快盤。

誇大・壮大・雄大・大仰・勇壮・暴走・過剰で非常。そんな衝撃(笑劇)の音景が80分近くに渡り連続して並び立つサマは圧巻。その全てにおける超絶な入魂っぷりが、全体に信じられない勢いと破壊力をもたらしている。

こういう破綻寸前の猛密度のアルバムって、中途の「落とし処」次第では全く通して聴けないモノに変じてしまうんだけれども、このバンドは(意識してか天然かは不明ながら)緩急の「緩」に当たる部分の作り方が物凄く巧い。ほとんど間抜けなまでに100%民族音楽めいた旋律で部分を簡潔させて、そこには重さだとか必要以上にテクニカルだとかいった余分な要素を絶対入れない、みたいな。攻め立てる部分ではひたすらに熱く、速く、激しく展開し、対する各部ではとにかく耳に残るクサいメロディを主軸に訴求。そのコントラストが物凄く自然に描かれているせいで、これだけの大作にも関わらず聴き手の顔に半笑いを貼り付けたまま最後まで駆け抜けてイってしまう。一時間以上に渡り展開し、待ち構える最終曲が16分超のインストだなんてちょっと普通では考えられまへんよね、という構成を完結させる。

猛然と流れ出るトラディショナルな旋律で鷲掴み、滅茶苦茶な全力疾走で蹴躓きながらも完走する楽曲の応酬は、ジャンルを超えて魅力的。思わずハラショー(露西亜)を雄叫びたくなる好盤。

Rekreatur

★★★★

あの感動的な超大作"Sagas"から2年、ドイツの神話的シンフォニック・メタルバンドが再び舞い記す超絶ドラマティックな音の叙事詩…

なんと、2010年に入ってvo.とdrumが脱退!していたと。その上での本作、なのだが、ハッキリ言って違いが(ビャァアアアァーーーー!!!!だったのがヴァァ゛アーーー!!!になってるぐらいしか)ワカラン!ってなぐらいに踏襲されたその世界は、前作からのファンを見事に裏切らない。

それこそ太古の記憶を呼び覚ますような、カラダの奥底から煽り揺さぶるリズムとフレーズ。この上なくクサく、大仰で、もはや人知を超えたスケールのドラマティックで涙腺を直撃する楽曲の波状。真夏のサウナのような、ハバネロに振りかけられたデスソースのような、ハナから限界を超えて身悶える重厚でクソ喧しい狂騒的チューンの波状は、一度呑み込んだモノどもを、最後まで、絶対に、離さない。MUSEが言うところの「過剰の美学」を、もっと根源的な部分から演ってるような、音楽的な興奮や喜びを「もうイヤやめて!笑」っちゅうぐらいに味わわせてくれる今回も快作っ!

Myspace
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