THE DELAYS/You See Colours

★★★☆

英Southamptonの4人組、The Delaysの2nd。"現在の空気と80sレトロスペクティヴ"、両者のせめぎ合いを通じて奏で上げられるのは、ここ最近のシーンにおいて極めて特異なグルーヴィサウンド。

空間を満たすゴージャス・シンセに、滑らかに舞うグレッグ・ギルバート(vo.)のファルセットが絡み合うオープニング"You And Me"からして「何ダカ変ダ。」チープ・ゴージャスなシンセのラインにディスコ・ライクなビートの多用、香りたつコーラスが湧出するダンサンブルなTr.2"Valentine"など、思わずマドンナかよ!と突っ込みたくなるような80sサウンド。

バブリーさが逆に安さを醸し出す80sディスコサウンドが、ヴェルヴェットな質感のグレッグの天上の声と溶け合い、滑らかにして艶やかなグルーヴを編み上げていく。この「せめぎ合い」が抜群のバランスで拮抗するTr.6"Winters Memories Of Summer"は、美しくうねる叙情が素晴らしい好ナンバーだが、逆にその拮抗が80s方面に崩れてしまうTr.7"Given Away"では妙な既視感に襲われることになる。

天賦の声が珠玉のメランコリーを謳う終曲"Waste Of Space"を聴くだに、正攻法でも十二分に勝負できるバンドでありながら、あえてこうした特異なアプローチで迫ってきたところが非常に面白い。同じくラフトレ所属のThe Veilsが好きな人もご一聴を。

http://www.myspace.com/delays