DEATH TO ANDERS/Fictitious Businesses

★★★★

カリフォルニアの4ピースによる2nd。良くも悪くも変わらない「USインディ」シーンに組するサウンドながら、個人的にはこれがかなりのクリーンヒット。上述のジャンルにおいて、"どれだけ耳に残るメロディが描けるか"、"いかに気の利いた展開でヒネれるか"というトコロがほとんど全てだとすれば、このバンドはそのどちらもかなりイイ線いっている。

マイナー・コードの五月雨から始まるオープニングトラック"Fictitious Buisiness"。緩やかにエモーションが弾ける終盤部から、歪んだギターがダークな咆哮を上げる"Ghost Rock"へ突っ込んでいく。この、時として鬱陶しさを感じる"インディ・エモ"な熱気を切り裂く激しさが、全般に鋭角のメリハリを生んでいて非常にクール!鳴らすトコでは躊躇なくブラストするギターやリズムセクションは、その細やかな部分を際立たせる意味でも◎。

ヴォーカル・パートには2人いる?幾分異なるタイプの声が出入りし、ストリングスやコーラスを巧みに入れつつ織り成していく。メランコリックな歌い上げで揺らす"Man Of 1000 Regrets"や、ギター・リフの機銃掃射からメロディアスな旋律が一気に上空へと舞い上がる"Mooney Steg"など、琴線を鷲掴む仕掛けが随所に満載。

さらに個人的にオォ!と興奮したのが、ヴォーカルの近似と相まって、Hope Of The Statesを思わせる楽曲がいくつも見られること。HOTSのように『世界を憂うポストロック』なスケールではないが、街角の陰影をトレースするようなメランコリックな質感は、抜群のメロディ感覚もあってか強烈に耳に残る。気になった人はマイスペで"Doll"を聴いてみたらいい。最後はこれまた耳に残る牧歌的なベースラインが跳ねる"Camera Lens"でサヨウナラ。06年リリースのデビュー盤も買ってみようかしら、と思わされたナイスな作品だった。

http://www.myspace.com/deathtoanders