Porcupine Treeの中核/Steven Wilsonが、イスラエル人の若手ミュージシャン/Aviv
Geffenら5人と組んだユニットによる2作目。ここでは本家のプログレッシヴ/メタルな側面は皆無。代わってそう、例えばLONGVIEWなど、UKの美メロック好きなら卒倒しかねない美しくメランコリックな音世界が敷き延べられている。
とにかくツボに嵌まる人にとっては、ほぼ完璧ではないかと思われるそのメロディ・センス。澄み切ったメランコリーを湛える湖へ、琴線を鷲掴む内省的な音粒が降り注いでくる。加えて一方で、オープニングトラック"Once"での流れるようなギターの爆発、続く"1000
People"冒頭での感傷的なチャイム音、鮮やかに空間を切り拓いていくストリングス、心昂ぶるオーケストレーションなど、基本のメロディを艶やかに彩る音使いには、並みの新人とは次元の違う巧さを感じる。
ストレートなリリックは時折気恥ずかしくもあるけれど、そこも含めて耽溺できる気持ち良さがある。窓を濡らす冷たい雨の流れを、暖かな部屋の内から眺めているような心地良い感傷は、時に非常な恍惚でココロを奮わせる。全く同じってわけではないけれど、Montgolfier BrothersやBernard Butlerあたりが好きな人はまず間違いなくハマる世界かと。オススメです。
http://www.myspace.com/blackfield