BISON B.C/Earthbound

★★★★

名称同様、野太いリフで鼻息荒く突進するハード・コア。ツイン・ギターにベース&ドラム、併せてツイン・ヴォーカルで雄叫びをあげるカナダはバンクーバーの4人組によるデビュー盤。

このバンド、基本ハード・コアながら、端々にスラッシュ・メタルな小気味良いリフを噛まし、あるいは要所でヘヴィ・メタリックな重量物を投げつけるなどという小技を効かす。いわば、スラッシィなリフを助走にハード・コアの暑苦しい熱量プールへと飛び込んで、そっからメタルの泥沼で水浴するようなBISONサウンド。若々しい暴力の匂いを放つヴォーカルも、その野暮さがgoodです。

Tr.1"Stokasaurus"の頭からして持てる膂力を存分発揮。ブゥーンブゥーンと唸る音像からザックザクのリフが駆け出し瞬間バースト。パンキッシュな直情性と、ヘッドバンガーズの欲求を充たして有り余る剛腕リフが相乗して暴れ立つ。リフがリフがリフがぁ物凄くカッコイイ!!!とその一言で満足撃沈。そりゃもう、"Earthbound"のイントロで燃えない人なんているんだろうかと思うほど。REVOLUTION!を口走る"Dark Skies Above"の直情性もステキです。

カナディアンという漠然としたイメージにどこか合致する、微妙に垢抜けない泥臭さも魅力的。9月30日はMETAL BLADEより新譜もリリースされる予定。これまた楽しみです!

Quiet Earth

★★★★

カナダの獣性メタル・バンドによる2ndは、米国METAL BLADEからのリリース。前作でのサウンドが泥を跳ね上げ突進する若い雄牛の姿だとすると、今作はさながら肉汁滴るレア・ステーキといった按配か、、、死んでるじゃねーか!というツッコミは別として、何やら非常に生々しく、暴力的な血潮の気配が一気にぷぅんと強まった。

プロダクションにメジャーな質感がハッキリ出たせいか、個性の色は若干後退。代わりと言っちゃナンけど、振り翳される轟音の強度は明らかに増した。ドゥーミィなる膂力の捻転と、切り裂く剛腕スラッシュの突撃がクロスする喧騒的爆音。

メタリックなギラつきとその破壊力を前面に打ち出す頭3曲は、青臭いメロが後退した分、カラミや展開の複雑さとは反比例してやや起伏に乏しく聴こえるが、ドラマティック鬱劇場を披露目るヴァイオリン/チェロの旋律を冒頭に思い切って取り込んだ"Wendigo Pt. 1"から次第にイキが良くなってくる。IRON MAIDENへのオマージュにも聴こえる展開を喰らわすこの楽曲を筆頭に、ここまで取って置いたのね!と嬉しくなるよな爆裂リフの激震/メロディックなソロ・ギターの華麗を堪能する"Medication"、前作同様ラストに最もカッチョええリフを隠していた"Quiet Earth"へと連なる展開でヴォルテージはドンドンドンと上がっていく。悶絶リフの密度でいったら前作に軍配が上がるが、楽曲の出来の良さは確実に今作が上回ってる。したがって、トータルはイーヴンとする。

Dark Ages

★★★★

カナダ産4ピースによる2010年新作。スラッシィなキレ味が立っていた1st、Metal Bladeに移籍し一挙その鋼鉄のヘヴィネスを増した2nd、に続いておよそ1年半ぶりのスパンでリリースされたこの3rdでは、そのキレっぷり&ヘヴィネスが程よく混血。いわばハードコア本来のタフネスがみっちみちと踊り、跳ねている。

過去2作と比べると、アルバム全体を「環状」する感覚がかなり濃く、展開の起伏/気迫に一種の箔が付いている。鼻息すら感じる獰猛なグルーヴ、、、ながら、音の表面は極めてソリッド。ムダな肉を削ぎ落とし、全編をスリリングに繋いでいる。全7曲で46分、という尺を聴かせるだけの表現力が付いた代わりに、青クサーいまでの素直な昂揚感は減衰して感じられるトコロは前作と同様で、個人的にはちと残念。ともあれ、HIGH ON FIREの新譜にも通じる獰猛の(一つの)極みっぷりに蹴散らかされてください。

http://www.myspace.com/bisoneastvan