CHAPTERHOUSE/Ulrich Schnauss@Live And Bar 11

あまり実感はないが、最近のシュゲイザー「復権」の流れによって、実に18年ぶりの来日を果たしたChapterhouse。その大阪公演へ。最近ライブレポは雑感が入り混じってグダグダになる傾向が強いので、今回は別々に。まずライブ。

20:30 Ulrich Schnauss
ステージ中央にラップトップ、シンセなどの機器一式が横向きに配置され、後方には小型の3面スクリーン。今回のツアーではKirsty Hawkshawというお姉ちゃんがフューチャーされてたんだが、この人、見た目はむちゃくちゃカワイイ(40歳!)が歌は???ウルリヒの弾き語りで熱唱するオープニングなんて、可愛くなけりゃ許されん所業だけども、そのあまりの妖精っぷりにはダメ出しも出来まへん。ウルリヒのミュージックについては晩夏の気怠るさや、午睡の抑鬱みたいなイメージがあったが、ライブ序盤ではそうしたアンビエンスをゆっくりとはべらせ、ときおりそこを密やかに侵食する鍵盤が、狂気にも似たイロで意識を染める。ヨーロッパの街並みシームレスに繋いだ映像にも時折ノイズのような異物が混じり込んでいたが、そのサブリミナルな刃物っぷり、決して急くことのない展開がとにかく巧く、気づけばアッパーなビート、鼓膜を聾するホワイトノイズ、うねり立つ鉛のグルーヴが渾然として轟く空間の渦中で恍惚として踊っている自分がいた。CDだと途中で寝てそうなこの緩やかな景色の染色に、職人気質の美しい偏執っぷりを見せつけられたような、そんな素晴らしいステージング。

21:15 Chapterhouse
再結成、そして18年ぶりの来日公演。かつて、そして今再びこうして多くのリスナーに愛されるという、ちょっとした奇跡のような出来事。トリプルギターにベース/ドラムという5人編成でステージに立つメンバー。はなっから全員がアンプに向き合いフィードバックノイズを重ねるオープニングから、全く褪せることのない轟音のメロディが展開されていく。炸裂する爆音の波間に浮かぶナイーヴな歌、咆哮を上げるギターの蒼い昂揚には何か言葉で説明しがたい魅力があり、このジャンルが今もってしぶとく愛され続けるワケを全身で体感。
この日特に良かったのが"Precious One"、"Pearl"、"Love Forever"といったどこかしら「マンチェ」なグルーヴを感じさせるナンバーで、懐古とも感傷とも言い難い、なんとも深い昂揚感に浸りながら踊っていた。ウルリヒやKirsty嬢も参加してお祭り騒ぎのようだったその"Love Forever"でいったん退場したメンバーだが、場内を満たす拍手と歓声にすぐさま引き出され、アンコール。
その一発目、死ぬほど好きな"If You Want Me"で悶死。一足飛びに駆け上がっていく儚い純白の轟音に昇天し、のっけから危ない刃を飛び散らせる"Inside Of Me"で終演。例えばマイブラの『伝説』じみた存在とは全く違うが、一つの純粋な感覚が変わらずに今、再現されているという掛け値の無さ、そんなものも感じた幸福の体験。

以下雑感
大阪は直前で会場が変更され、心斎橋の一等地に建つビルの最上階の「クラブ」という、なんだかバブリーなハコ(内装はペラペラだったが)での開催だったが、そのドタバタも関係してたのか、当初いただいたタイムテーブルより1時間おしてのスタート。前座の2バンドは想像以上にいただけなく、楽しくない、を通り越して苦痛にも近い時間を経験。あげく時間の皺寄せがウルリヒにも及び、当初予定よりも短い時間で切り上げさせられた氏が、演奏中にステージへ上がったスタッフの「あと4分で」という指示に一瞬ムッとした表情を見せていた。SUNSUIもよくやるが、時間も満足にコントロール出来んのに、クソみたいなバンドをカップリングするのはやめてほしいの。さておき今回のツアーには、CHAPTERHOUSEと共に英国からClub AC30のDJ陣も来日し、RIDEやAdorable、J&MCにMedicineといったCREATIONのシューゲイザーナンバーを中心に爆音を鳴らしていた。こういう、イベントのイロにあったDJって気分が盛り上がっていいわ。

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