MEW@心斎橋CLUB QUATTORO

実は6度目にもなるらしい今回の来日公演だが、個人的にMEWのライブは昨年のサマソニで初体験。単独で観るのは今回が初だ。即完したらしい東京公演に続き、ここ大阪でも最終的にチケットはSOLD OUT。18時半に会場へ入ると、既に結構埋まってるー。なんとかステージ全体が見える右側4列目あたりに入り込み、待つ。久方ぶりにこの、開演までの場所取りにかかるビミョーなせめぎ合いを経験した。19時を少し回ったところで暗転。ステージ左手からメンバー登場。Jonas、Bo、Silasの3名にサポートのbass、keyが加わった5人体制。クログロとした色が支配する中、金属質なギターが破裂し、弾き出されたリズムが呼応して始まった"Circuitry Of The Wolf"

激しく白光するストロボ含め、その9割を足元からの照射に任せたステージ照明が拍動するサウンドとシンクロし、強烈なインパクトを鼓膜へ、網膜へと刻みつけていく。イントロの盛り上がりっぷりがやはり最強の"Am I Wry? No"、その真骨頂たるインナー・ワールドへと引きずり込む"156"といった初期のナンバーはもちろん、関節がヘンな方向に曲がりそうな"Introducing Palace Players"、あるいは関節を抜かれたような奇妙な飛翔を魅せる"Hawaii"あたりの新曲群もステキ。ダークに、メランコリックに、激しく、脆く、奈落から天上へと劇的に転調する楽曲群は、それを彩るライティングもあいまって、アルバム以上に激しい落差と昂揚を焼き付けていた。

ハイトーンの美声がイメージとして強いヨーナスだが、この日は凝り固まった夜気を噛み砕くような、ズシリとした低域の凄みや、ナーバスに揺れる中域も印象的。個人的な前半のハイライトは"Apocalypso"から"Saviours Of Jazz Ballet "への流れで、全ての音像がガッチリと組み合った瞬間に、この日一番の昂ぶりを覚えた。ステージ後方のスクリーンには、お馴染みシュールな異形たちが。阿波踊りめいた動きをみせる二頭身の骸骨動物、中に絶対ヒトが入っていそうな眼差しの猫、おもちゃ箱に数年間放り込まれてたようなクマなど、ファニーで不気味なモノたちが跋扈。そのクマの呟きと競演する新曲"Bear"で本編終了。

ん!?と思って時計を見やるとまだ20時。えらい早いぞと思いつつ、期待と不安が交錯する中、アンコールの手拍子に導かれて再びステージへと現れたBoがおもむろに、ラリったような拍子のリフを刻み始める。その奇妙にネジくれたダンサンブルなリズムから始まったのは大好きな"Special"!!!こっから"Zookeeper's Boy"へと連なる流れはやっぱ何度聴いても興奮する!このなんともドラマティックな展開から"Beach"を挟みこみ、再びBo一人を残してメンバーは舞台袖へ。おもむろに爪弾かれたギター、、、ラストはみんな大好き"Comforting Sounds"、、、ん?ラスト!?イントロに乗って帰ってきたJonasが「this is the last song we play」ゆうた瞬間に思わず心の中で「えぇー!!!」と思うてしまった。背景に流れ星を携え昇り詰めていく白く輝く轟音はやっぱりキモチ良かったんだが、でもそれより何よりも「短い!」「しかも聴きたかったあの曲を演ってない!!」ということに身内を占領されていたため、昂揚感は2割引き。その辺も大きいのか、個人的にはやや不完全燃焼。その世界へと引き込む力も、サマソニでのステージのほうが強かったように感じた。ま、これはステージの広さや周囲の環境などの要因がデカいとは思うけど。でもまぁ、良いライブではあった。またいつかどこかで会えることを願いつつ、今日の日はサヨウナラ。

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