SAXON SHORE/sgt./MASS OF THE FERMENTING DREGS@鰻谷SUNSUI

米国のインストゥルメンタルバンド/Saxon Shoreの約3年ぶりとなるJapan Tour、その大阪公演へ行ってきた。会場は前回と同じくサンスイ。仕事が終わって19時40分頃会場に着く。ちょうど前座のVampilliaが終わったところで、続いて30分ほどの転換を挟んでMass Of The Fermenting Dregs。昨年のサマソニ以来だから結構久しぶりに観たんだが、なんというかこれまで「オルタナ!」だったのが「おるたな」になってしまったような煮え切らないステージにガックリ。ギザギザしてるだけで何ら切迫してこないギターも、変にこなれてしまった感じのパフォーマンスも、初めて観た際の熱い昂揚感にはリンクせず。ラスト付近の旧ナンバーでちょっとだけ動いたけど、それにて打ち止め。

今度は15分弱で素早く転換が行われ、21時頃からsgt.のステージが開演。ギター/ベース/ドラムというバンド編成に、ROVOの勝井氏のそれを思わせるコズミックなヴァイオリンが入るインスト・サウンド。体脂肪率一桁台の、それこそまるでbattlesのようなリズムが反復するモノクロームで硬質なオープニング。このブレのないドラムに巧みなベースが加わってのリズムセクションに、知らず身体がノセられ動き出す。出だしの感触は前回メトロで観た際より随分良かったんだけれども、全体としては今回もまた不完全燃焼、、、サウンドの肝になってるはずのヴァイオリンが、アルバムと比べるとどうにもこうにも物足りない。グルグルと上回ってはいるものの、そこに昂揚中枢を鷲掴んで昇天させるだけのナニカが抜けているような・・・ときに轟音を放つギターが(たぶん意図的に)後ろに引っ込んでしまってるところも同じく。リズムに揺られてある程度キモチよーくなるものの、最後まではイケずに終わってしまう展開は、前回の京都と同じだった。トータルで30分しかないステージの短さも大いに関係ありそうだけど。ただ別にフォローするわけじゃないけど、雰囲気含めて決して悪いステージではなかったとは思う。

そして21時50分頃からようやくトリのSaxon Shore。が、ステージに出てきたのは4人。key奏者のMatt Stoneが居ない(昨年脱退したとの情報もアリ、、、)。そして不在なのにその激エモーショナルなkeyの旋律が胸を打つ"The Revolution Will Be Streaming"により開幕するというやや違和感のある立ち上がりではあったが、やはりこのバンドが放つ音の美しさは格別。ギターアンプと交歓するように、そこへ近接/遊離しながら無数の色めく轟音を叩き出すOliver Shapoyを核弾頭に、ビューティフルな旋律を揺らめかし、やがて純白の轟音へとクレシェンドしていくアンサンブルが掛け値なく、素晴らしい。イメージとしては白を思わせる轟音に、なんだか首から上が白熱していくような昂揚感を覚え、ただただその音の中に蕩揺たい、浸る。新譜からの楽曲とその他とがちょうど半々ぐらいだったセットリスト。だけどもやっぱり、楽曲のインパクトとしては前作""からのナンバーが頭一つ抜きん出ている。全体のショータイムが短いためか、長尺トラックはなく、4分前後で素早く燃焼させてオワルものが多い。ために先のキーボード奏者不在ともあいまって、前回来日時に覚えた強烈な昂ぶりまでは至らなかった。50分ほどで一端終演、アンコールでは「すごく古い曲だよ」と言って旧来のナンバーを演っていた。イントロが鳴った瞬間に後ろで『I know!!!』って叫んでる人がいて、あぁ、ほんまに好きなんやなーとなんだか嬉しくなったりも。薄からぬ疲労の色も覗かせながら、最後まで全力で珠玉の轟音を叩き出していた姿が何とも言えずカッコ良かった。眩く煌く轟音の中で、今日この場でそれに触れている幸福を十二分に噛みしめながら、だけどもどうしても前回と比較して物足りなさを感じている自分も居たのでした。午後23時に終演し、帰宅。

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