ACID MOTHERS TEMPLE&THE MELTING COSMIC BLUES BAND vs KINSKI@神戸HELLUVA LOUNGE

独特の立ち居地を占める日本の雄/AMTと、実はTOOLの前座も務めたこともある米・シアトルの4人組/KINSKIによる合同Japan Tour、その神戸公演へ行ってきた。

先発はAMT。フロアにたむろっていたメンバーがよっこらせと立ち上がり、そしたらまぁやりますか、ってな具合でステージへ。今宵は津山(vo&g)、田畑(b)、志村(ds)、河端(electronics)という編成。足元を見たところエフェクト類もほぼナッシング。途中ボソっと「俺達が音響派ってことがよく分かってもらえたと思います」とか言ってるし。その潔い(もしくは適当?)な仕様そのままに、叩き出されるソレはもう超ストレートなヘヴィ・サイケデリックチューン!胃の腑をエグる重低音アーンド鼓膜をつんざくノイズが乱れて飛び交い重なりますヘヴン。上へ下へと螺旋状を駆け巡る田畑のベースラインが素晴らしく気持ちヨク、鋭い切れ味でヘヴィなリズムを叩き込むドラムと合わさってめっちゃめちゃ気持ち良い。宇宙まではブッ飛んでかないものの、快楽の絶頂をキメまくるフリーキーなギターに、いつの間にやら河端が繰り出すノイズが激烈な波動となって被さってきており気づけばけっちょんけちょんの轟音に満たされているという具合。ダークサイドな捻転からあっけらかんとしてアッパーな爆走へと連なって、揉みに揉まれまくって思考回路も鼓膜ももれなく踏み潰される至福の時間でありました。期待を大きく上回るその内容に大興奮アーンド満足デス。

続いて20時40分頃よりKINSKI。中央に女性ベーシスト、左右にギター、後方にドラムというカタチ。自分の中で勝手にサイケ/ガレージのカテゴリに分類してたKINSKIなんだが、この日連発された音はそれこそSonic Youthの系譜を思わせる、90s前後のオルタナ/ギターロックじゃあないですか。パワフルな発破を仕掛けるドラムにドッシリとしたベースラインが全体を動かし、加えて左右から2本のギターがノイジーなギターをギャンギャンと錯綜させてイロづける。あくまで直線的な展開に、アーティスティックな美意識も覗かせるギター・ノイズが錯綜する空間は、この手の音が好きな身にとっては結構タマラン。ファズギターに成り代わるような強烈なクラッシュ・シンバルの鳴りっぷりを始め、やたらパワフルなドラムを起点に爆発するノイジーな爆音に煽られる。長尺のイメージとは裏腹に、3分前後でfinする瞬発力重視の楽曲がわりに多かったのがなんとも意外。この辺は好みによって良し悪しだけども、先のAMTのいつ終わるかワカランうろんなネジレ模様とは対照的だった。しかし本編ラストの"Silent Biker Type"は、これぞ(自分のイメージどおりの)KINSKIじゃー!といった轟音ナンバーで素晴らしくカッコ良かった。アンコールではブルースをオルタナ・ギターサウンドで希釈したような"Child Had To Catch A Train"でビシっとキメてくれました。

イベント名どおりに「対決」の構図で見るならば、自分としてはAMTに軍配。だけども一緒に行った彼女は「KINSKIがかなり良かった」とのことなので、結局はどちらも個人のお好み次第なナイスアクトだったということか。この値段でこんだけのもんが観れてほんとーに満足。だけども終演後には(主にAMTの河端氏による爆裂音により)最近ちょっとなかったぐらいの耳鳴りを土産に持ち帰ることになったのでした。

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