THE NEW MASTERSOUNDS@心斎橋クラブクアトロ

いやはやなんの、長く楽しかった3時間のファンキー・ナイトでありました。行こうかどうしようかと(主に価格面で)直前まで迷いもあったのだが、結果としては「6,300円(w.1drink)は全然高くないね!」と思える好内容で満面の笑み。今夏Fujiでのパフォーマンスも好評だったUKリーズのファンクバンド。単独ツアーは06年3月以来となります。

18時ちょうどに会場へ着くと、おぉー!わりと人が入ってる。150〜200人はおるのでは?各人が踊れるパーソナルスペースを確保しつつ、良い感じの埋まり具合。サササッと3列目あたりまで移動し、待つことしばし。スッと暗転して出てきましたよTNMの面々が!昨年、オリジナルメンバーのオルガン奏者/Bob Birchが脱退し、新たにJoe Tattonが加入しての新体制。サックス奏者はいないのね。エディ・ロバーツが若干眠そうに見えたのだが、ともあれ、めちゃくちゃナチュラルに始まったセッションにたちまちココロが踊り始める。フロアの反応も極めて良ろしく、エディのギターが高まれば自然と喝采、ドラム・ソロのパートでもすかさず後方から合いの手が入ったりと(一部で妙な浮かれっぷりは感じたが)客のテンションも高くてオモロイ。

素晴らしく引き締まったリズム隊をベースに、波打つ帯のようなエディのギターが自在にアップダウンして魅了する。このバンドの良いところって、何と言ってもこの判りやすさにあるんでなかろうか。とにかくめちゃくちゃ入り易い!異様な緊張を孕んだカオティックなソロ・パートがあるわけでなく、リズムが異常に複雑だったりすることもなく、蒼い漣のように満ち引きするセッションはひたすら軽快にして爽快!なのです。「ファンク」と聴いて連想するネッチョリとして黒いグルーヴとは、ある意味正反対とも言えそうなマスターサウンズ。ハモンド・オルガンからローズピアノまで弾き分ける鍵盤の色づけをメインの装飾に、ずーっとずーっとひたすら永続的に身体を揺らし続けられる洒脱なグルーヴは、UKファンクの専売特許!って感じもする。んでもってフイに時折、各人が「本気」になる瞬間もあったりして、そこもまたオモロイ。Grant Greenばりのギターが加熱し過ぎて火を噴く瞬間や、ブリブリッとしたベースが唸る瞬間を高潮に、まぁあっという間に1時間が過ぎ「次の曲やったら10分ぐらい休憩するけど、帰らないでね」と言って前半戦終了。

しかしね、この前半である程度昂揚の極点を推し量っていたりもした私だったが、19時半過ぎから始まった第2部でアッサリとそれを覆されてもた。こっから出てきたのが新譜にも参加していたゲスト・ヴォーカルのDionne Charles。弾けそうに豊満な身体をワンピースに包んだ彼女が文字通りステージに"転がり出て"きた瞬間から、ステージもフロアも一つリミッターが外れたかのような盛り上がり。人ヒトリでこうもアゲれるのか・・・と思ったのは後の話。そんときゃもう、鳩のように首を振るのみであります。ソウルフルな歌の迫力も当然ながら、シンガーというよりアジテーターといったほうが良さそうな天然色の煽りっぷりがなんともはや。"Fast Man"でお客も巻き込み唄わせ踊らせ、メンバーを煽り、やたら楽しそうに飛び跳ね手を叩くサマにこちらも嬉しくならずにはおれんでしょ。皆が待ってたパッパラッパラ♪な20分に及ぶ"Nervous"はじめ、まぁほんと、3時間がこれほどスムースに流れていったライブというのはこれまで記憶にない。バチっと応えてくれたアンコールの余韻も携え、心地良い興奮にざわめくフロアを後にしたのでした。

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