DO MAKE SAY THINK/Luminous Orange@渋谷O-Nest

なんで東京だけー!と軽くショックだったDMSTの初来日公演。ま、言ってもしゃあないので観光も兼ねて上京することに。もともとは26日のDUOを観に行くつもりだったんだけど、諸事情により28日のnestで観る事に。そんなわけで以下レポ。

19時ちょうどに会場入り。雑居ビルの小狭いエレベーターを降りるとBARスペース。で、そっから一旦外に出て螺旋階段を降りてライブスペースへ行くというちょっと変わった作り。中へ入るとクアトロを一回りと狭くしたような空間に、4割ぐらい人が入ってた。飲みながらしばし待つ。19時15分頃、Luminous Orangeのメンバー5人が出てきて暗転。名前の頻聴度に対して、音源はほとんど聴いたことのなかったこの人ら。ギター×2/ドラム/ベース/ヴォーカルという編成から弾き出されるは、ネオアコ/シューゲイズというフレーズが頭に浮かぶ、煌びやかでスムーズな爆音絵巻!2人の女の子が「フッ」とか「ハッ」とか声を挟むのもあって、全体的には軽やかな浮遊感に包まれているものの、モロにゲイザーな轟音を旋回せしむるギター男子を筆頭に、満ち溢れるアンサンブルはかなーり豪快でカッコイイ。特に3曲目あたりに演った、終末の轟音スパイラル模様には悶絶。さながらChapterhouseばりのWhirlpoolが会場を包みこみ昇天。難フレーズもサラリ弾きこなすベーシストも素敵でありました。

続いて本命、DMST。ちょっとした楽器屋さんばりに機材が並び立てられ、20時40分頃、暗転。広くないステージ上にブラス部隊が3人、弦楽4人にツインドラムという総勢9人が立ち並んだ。初っ端は"A Tender History In Rust"。弦楽が柔らかく睦みあう柔らかな立ち上がり。で、そっからイキナリやってきた"Auberge Le Mouton Noir"!CDとは比較にならぬ分厚いアンサンブルが全身を包む込むように溢れ、奔り、消えていく。陽であり陰、深いメランコリーと昂揚が複雑に交錯するDMSTの楽曲は、春霞に包まれた景色のように朧ながら心地良く、ひどく人間くさい温かみがある。ってかそんなことよりツェッペリンのT着たタトゥーだらけのギタリストの兄ちゃんがスゴク良い!ビジュアルそのまんまながら「このバンドらしからぬ」尖ったフレーズで一気に全体を燃焼させるセンスに興奮。反復するベースラインが緩やかな昂揚を描き、奥底からゴッドスピードな弦楽重奏が全てをさらう"Reitschule"で最初の鳥肌、さらに雪崩れ込む"Executiner Bluce"終局での、津波のように何度も何度も何度も何度も押し寄せ打ち砕けるアンサンブルの怒涛で昇天。なんだこのオトノカタマリハ!物凄くナチュラルで、音圧うんぬんでないデカさを感じる。とどまらず、続いて4thより"Fredericia"。アルバム聴いてた時には絶対チェロかなんかだと思ってた、地鳴りのような重低ラインは実はベース。鬱々しい音はいつしか華開き、気づけば嵐のような音鳴りに巻き込まれているという不思議。静→動アプローチとはまるで違う、しかしポストロック的な昂揚を強烈に感じさせる特異な展開。聴き覚えのないエレクトロニカな楽曲を挟み、先の入れ墨兄やんが「次はスペース・ロックだ!」「デストロイ$%&’’!!!」とか言いながら始まった"Horns Of A Rabbit"。明滅し反復する音で煽り立て、クライマックスの轟音から間髪入れず"The Universe!"へ。この流れは知っていた。知っていたのに大興奮。ギターを掲げ客席へ突入するギタリストを囲み、フロアを縦に劈く轟音のカタマリに狂喜。その後柔らかなアンサンブルを残し、本編終了。鳴り止まぬ拍手のもと、すぐにメンバー再登場。アクアティックなベースラインから、湧き上がる歓喜の轟音に呑まれていく"Outer Inner & Secret"でアンコール。さらに引っ込んだメンバーを再度拍手で引っ張り出しての"The Landload Is Dead"でホントの終了。このバンドの音だからこそなんだろうけど、客席とステージとの一体感も、関西ではこれまであまり体感したことのない、気持ちの良いものだった。チケット代×10の費用をかけてやってきたかいがあった、と思える素晴らしいライブだった。

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