BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB@心斎橋SOMA

03年10月のクアトロから4年と少し。ようやく、といった感もするBRMCのJapan Tour。かつて言われていたドラマーのビザ問題など、諸々の事情がどうなったのかはよく知らんが、また観れる日が来て非常に嬉しい。で、まず今回のツアーが決まってみて意外だったのがチケットの売れ具合。1000人ほど入るらしい東京のDuoがほぼ即完。追加で出たアストロも完売。大阪は公称キャパ300超のSOMAで、これもソールドアウトした模様。デビュー時にはStrokes周辺の流れで結構煽られていたものの、2ndが出る頃には主だったメディアは当然のように扱いを縮小し、さらに続く3rdがかなり地味渋な内容だっただけに、未だにこれだけ人気があるとは正直驚き。昨年の新譜が良い意味で分かり易い内容だったとはいえ、BJM系譜のサイケ・ガレージバンドでここまで地上に出て来てる人らって、他にはほとんど無いような。

というのが前置き。ツアー初日の大阪へ行ってきた。18時40分、会場着。心斎橋SOMAという初めてのハコ。たぶん結構新しい。中へ入ると、想像してたより人の密度に余裕がある。クアトロとキャパは同じぐらいで、フロア形状は縦に長いタイプ。フロア左前方で待つ。QOTSAやらSpiritualizedが流れる中、ボーッと佇むことしばし。19時15分頃、暗転。

向かって左にロバート(bass)、右にピーター(guitar)、中央後方にニック(drum)というステージングは以前から変わらず。で、初っ端から"Berlin"〜"Weapon Of Choice"という熱い流れ。いきなり大盛り上がりか!?と思いきや、予想通りというべきか、客側の熱はかなーり低め。Weapon〜が鳴った瞬間に右手でモッシュを仕掛けてたのがいたが、一瞬で立ち消えてた。そんな2曲に続き、ほとんど客へのサービスとでも言えそうな"Stop"のキャッチーな音がブツけられるが、新譜しか知らん人間も多いのか、微妙に煮え切らぬレスポンス。

先の3曲でイマイチ盛り上がりきらぬまま、ミディアム/スローテンポの楽曲へ。本来なら緩急のアクセントになりそうなもんだが、この既にスローダウンしちゃってる中での"Howl"〜"All You Do Is Talk"の流れは若干辛い。実はこの辺で「あ、今日アカンかも、、、」と思い始めたんだが、次の"666 Conducer"〜"Red Eyes&Tears"で(個人的に)持ち直す。トグロを巻く漆黒のグルーヴ。ドラッギーな渦巻きがグラグラと意識を揺らす。で、かなり燃えたのが"Ain't No Easy Way"。ブルースハープが吹き鳴らされ、泥臭いリズムが強烈に跳ねる。いやぁ、3rdの楽曲ってライブだとこんなに映えるのね!と興奮。根源部分を鷲掴む昂揚感。"Shuffle Your Feet"の奮い立つような昂揚は鳥肌もん。ここでロバートが退場、ピーターによるアコースティックナンバーへ。続いて今度はピーターが退いてロバートが同じくアコギで2曲。その1曲目が"Sugar Spun Sister"だったんだが、おぉ!ここでローゼスが!!!とかなり意外で驚いた。中途で真っ暗になるライティングなど、演出も巧かったなー。

そうしたステージ構成含め、前回の公演より格段に充実した内容だと思うんだがしかし、如何せん盛り上がりがねぇ、、、。途中でロブが思わず「ミンナシズカデス」って言ってしまう大人しさ。前5列でさえこんなんだから、後ろはたぶんもっと静かだったんだろうね。何かとすぐに手拍子したがるノリもムズ痒い。"Love Burns"で手拍子はやめてくれ!!みたいな。

まぁしかし、本編最後は凄かった。ロブとピートがベース/ギターを持ち替えての"As Sure As The Sun"。この人ら、こうしたパートチェンジをする楽曲がいくつかあるんだが、ロバートの演奏は音自体もフレージングも総じてファジー。対するピーターはトラディショナル、ってったら変かもしれんが、正統的なブルースやカントリー的な色合いがわりとしっかり感じられて、なおかつ弾き方もきちんと(笑)してるような。なので、きっちりと反復するピーターのベースラインと、荒くれだって炸裂するロバートのギタープレイっちゅうのが、かなりハマっててめちゃくちゃ格好良い。ヤバイ!!!っちゅう感じで盛り上がってきたところでトドメの"American X"。ストロボフラッシュが激しく明滅する中で、アルバム比×3倍の小爆発が行われる展開が素晴らしく気持ちよかった。もっと音圧があったなら、かつて観たSpiritualizedのラストが再現されてたやろうなーと思わされる強烈な感触だった。

そんなこんなで本編終了。引っ込んだ3人が5分ほどで再びステージへ。私はと言えば、その間にステージ2列目まで進む。アンコール1発目は"Took Out A Loan"、で"Killing The Light"で横に嬲っておきながら"Spread Your Love"へ。既に音は割れまくっててワケが分からんかったが、やっぱ1stの楽曲は燃える。で、最後に演るだろうなーとは思ってたが"Punk Song"を持ってきた。「1・2・3・4」のカウントで客電が全消滅する反則の演出には、さすがにフロアも炎上し、最後の最後で爆発的な盛り上がり。瞬間、ロバートが「やっと来たか」っちゅう嬉しそうな顔したのがオモロかった。モッシュ塗れのフロア側へマイクを向け、自身は煽り立てるようなベースプレイ。いや、格好良かった。そんなこんなで2時間ばかし。他ではライブ時間がもっと長いんでちょい残念だったが、最後が良かったので良しとしよう。そんなライブだった。



=Set List=
BERLIN
WEAPON OF CHOICE
STOP
HOWL
ALL YOU DO IS TALK
666 CONDUCER
RED EYES AND TEARS
AIN'T NO EASY WAY
PROMISE
SHUFFLE YOUR FEET
FAULT LINE
DEVIL'S WAITIN'
(Song For My) Sugar Spun Sister
MERCY
LOVE BURNS
AS SURE AS THE SUN
AMERICAN X

TOOK OUT A LOAN
KILLING THE LIGHT
SPREAD YOUR LOVE
PUNK SONG





さて、こっから一段落は読んでも楽しくない不満点ばかり纏めて書くので(しかも傍目から見て多分にイタイ内容)、気分を害したくない人は見ないでね。まず会場のSOMAについてだが、何気に駅から遠いのでちょい不便。ステージは特別高くないのに、段差はフロア後方に1段設けられているだけなのであまり観易くもない。音は悪い。音も小っさい。各音をバランス良く出力しようとするタイプ(Zeppとか)なんだけど、音の芯が抜けちゃったようなドンシャリサウンドは音圧が全然足りなくて迫力不足。良くないノイズもかなり出てた。あと、客側の盛り上がりもなんかなぁーって感じ。ノリ方は人の勝手なんで言ってもしゃあない、というのは重々承知ながら書いてしまう私は馬鹿者。外資系CDショップの試聴機に入るレベル(よくワカラン括りだね)のバンドのライブになると、間口が広がって客が増える分、盛り上がりの密度が薄くなる感じがする。思い入れ云々というより、ライブ慣れしてなさそうな人が多いというか。こういうこと書くとまたお前何様やねんと怒られそうだが、なんかフニャフニャとした気色悪い盛り上がりなんですな。周りが盛り上がらないと自分も盛り上がれない感じ。棒立ちで楽しむのが気持ち良いライブもあるのかもしれんが、気持ちよかったら素直に揺れたらいいのにね。当たり前だが、盛り上がりが目に見えるほうが演ってるほうもノッてきてええものが観れる、ってのはあると思うし。そんなわけで、なぜか今日は久しぶりに周りを気にしてしまった次第。というわけで無駄に長いレポへお付き合いくださった方、まじでお疲れさまでした。

back