DON CABALLERO/FROM MONUMENT TO MASSES
@心斎橋クラブクアトロ

まず一言。今日のライブは金1万円ぐらいの価値有り。明日明後日の東京・名古屋公演、行こうかどうか迷ってる方は、絶対観といたほうがいいです。サマソニ行く金回してでも観といたほうがいい、と思ったり。

そんな本日。仕事を終わり猛然と会場へ向かう。着けばfrom横浜なジャパニーズバンド、Sequence Pulseの演奏の真っ最中。むちゃくちゃ垢抜けないルックスの5人が放つは、今をトキメク"叙情系ポストロック"。なかなか欲張りなことに、EITSの純正ノスタルジーとMOGWAIのノイズの棘、さらにはSigur Rosばりの天上を舞い飛ぶ感覚までも取り入れんとしたような、かなりモロなその手のサウンド。私はこういうの好きなので普通に気持ちよかったけど、聴いた後に何も残らない感は否めず。

40分ばかしの演奏が終了し、速攻でセットチェンジ。19時45分頃、FMTMが登場。開始。5弦ベースをタッピングしながらシンセを操るSergio、ラップトップPCからのプログラミング・ビートと生ドラムを融合させるMatthew、そしてそして、ほとんどのジャンルを網羅する超絶な激テクニカルなリフを弾き出すFrancisの3者によるパフォーマンス。1発目は"From the Mountains to the Prairies"、続いて"Comrades and Friends "。もう完璧です。端々で細かな肉付を行われながら繰り出される楽曲の再現度は、ほぼ100%。めちゃくちゃテクニカルな楽曲が、寸分の狂いもなく眼前で再現されていく様は、悶絶ものの素晴らしさ。細かな芸当をコチャコチャと織り込みながら、そのダイナミズムは全く消え去らないところが素晴らしい!

続いて3rdから"Deafening"
『sound which comes from silence......is music.』のナレーションから始まる感傷的なメロディの導入部は、思わず隣に立っていたヒゲもじゃ男に抱きつきたくなるような、そんな激烈な郷愁を放ち上げる。そして、そんなノスタルジーを奏でていたギターは、いつの間にか猛然とタテのリズムを刻み始める。ヴァイタリティありまくりの生ドラムのビートは、いつの間にかサンプリング・ビートに交じり合っている。そして(その場で?)サンプリングされたメロディが一瞬浮かび、全ての音と共に収斂し、一気に炸裂するその昂揚感。やば過ぎる。いくらヘッドをバングしても足りないぐらいの昂揚感。

続いて"来年の二月に出るよ"という新曲。1曲目こそ、センチメンタル・バーストなストレートな楽曲で拍子抜けしたが、続いての曲では再び音の華麗なる遷移を見せつけ、感傷から殺傷へ、そして衝動的な爆裂へと雪崩れ込んでいく様に再び大昂奮の態を晒したワタクシ。"To Z(Reprise)"にてそんな私にトドメを刺して、彼らは帰っていった。最近観た中でももうかなり上の部類に行くぐらい、めちゃくちゃ気持ちよくてカッコ良いアクトでありました。

時刻は20時45分。本日4杯目のbeerを飲みながら、後ろでオナゴに対してリッケンバッカーの構造について得意気に語っているリッケン馬ッ鹿ーの薀蓄を聞くともなしに聞きながら首領を待つ。

そして21時過ぎ、Don Caballero登場。Damon Cheを始め、メンバー3人揃いも揃って、ちょっとした小熊ぐらいあるようなかなりの巨体。一発目は何やら聴いたことのないチューン。赤紫のライトを基調とし、一瞬で暗黒舞踏会場と化したフロアに、ドロッドロの音が溢れ出す。

真綿で絞め殺すようなDamonのドラミングは、撫でるような柔らかさの中に、濃密な窒息性感じさせるよう。このドラムに被さるのがまた、重金属が溶解したようなヘヴィ・メタリックなギター。うわぁ乗りにけぇーって叫びたくなるような、"殺すぞォォオ"ってな具合で迫り来る粘着質な液体状の音の混合物。ドロドロならドロドロでその中に浸ることも出来るのだが、時折挟み込まれる異常に明快なタテのリズムが、その汚泥の中に埋没することも許してくれず、めちゃくちゃ気持ち悪い重塊で場を充たしていく。このオープニングにはタマゲタ、、、だから余計にか知らんが、続けて新譜から繰り出された"Sure we had knives around""Mmmmm acting〜"なんかが異常に明快に耳に響き、これがまた物凄く気持ちよい。狙ってやってるのか?この構成は?だとしたらスゴイ。さらに過去のモノと思しきとんでもなくミニマルなギターワークと、煮え立つような鬼ドラムが混ざり合う楽曲で完全にワタクシは昇天。このリズム、グルーヴ、やばすぎです。

変拍子っちゅうのはなんとも乗りにくいイメージがあるが、実はどんな乗り方をしても乗り切れるっちゅう素晴らしいモノであるように思う。今日ももうグッチャグチャに踊ってはタップを刻み、頭をガンガンに振るわ振るわ。周りも勝手なノリでかなりの盛り上がり具合。精緻の中に荒々しい暴力が見えるような楽曲群は、本日今年の上半期ベストでは?と思ったFMTMのライブをちょっと超えてしまったかもしれない、素晴らしい瞬間を何度も何度も連発してくれました。メンバーもかなり上機嫌。ハァハァ息切れしながら叩きまくるDamon Cheに痺れました。最高でした。ありがとう。

back