個人的には約2年ぶりとなるモグワイのライブ。19時ちょうどに会場イン。ステージ向かって左寄り、PA卓前にて待つことしばし。今ツアーでのオープニング・アクトを務めるN.Yの二人組、RATATATの演奏が開始。
シンプルで、しかしてヘヴィなサンプリング・ビートがハッチを揺らす。ズシリと弾けるリズムに乗せて、ベーシスト/E.Mastのリフが刻まれ、M.Stroudのギターが吼える。このギター・プレイがかなり面白く、弾きまくられるそのリフその様は、ほとんど往年のHR/HMバンドそのもの。これがまた非常にキャッチーでノリやすく、後景スクリーンに映し出される映像と相まって、なんとも気持ちよく総身を揺らしてくれた。
RATATAT終演後、30分ほどかけて機材のセッティングが行われ、20時15分会場暗転。厳かなS.Eが流れるステージ上に、スチュワートが登場。向かって右手にておもむろにギターを取り、静かに、あの曲の旋律を弾き始めた。深い郷愁に満ちたメロディが紡がれる中、次第にメンバーがステージ上へと現れ、各々のインストゥルメンタルをそこへ溶け込ませていく。暗い昂揚を描き出すアンサンブル。静寂の瞬間。思わず叫び出したくなる暗闇の会場に、暴力的な音圧のベース・リフが衝動と共に叩き込まれた。激しい閃光で両眼を射抜く無数のストロボ・フラッシュと共に、美しい獣を思わせる轟音ギターが咆哮。
オープニングは"Christmas Steps"
螺旋模様の美しい情感を放つ鍵盤ストリングス。添い遂げ高まり、遥かなる高みから降り注ぐ壮麗なノイズの嵐"Friend
Of The Night"、牧歌的な歌に乗せ、凄まじい量感のギター・ノイズが会場を攪拌する"Travel
is Dangerous"へと続く。どうしようもなく胸を締めつけるメランコリックな静のナンバーを間に挟み、"Ratts
Of The Capital"、"Killing All The Flies"といった個人的に大好きなナンバーへ。
音圧にそれほどの衝撃は感じず、ナンとも気持ち良い・・・
などと思っていた終盤、"Ithica27φ9"あたりからその音圧が倍加。ツイストしながら吐き出される轟音を、なんとも楽しそうに叩き出すスチュワートが鬼に見えるほどに、凄まじく圧迫感のある爆音が空間を埋める。咆哮を上げながらノタウツ巨獣を思わせる本編ラスト、"We're
No Here"で殴りかかってきた歪んだギターの旋律は、冗談でなく戦慄を覚えたほどに恐ろしく、脳内を焼き尽くす凄まじいフラッシュと共に、完全に身体を打ちのめしてくれた。
サンプリング・ノイズを置き土産に、いったん退場したメンバー。しばしの間を置き、再びステージ上へ。"Hunted
By A Freak"でアンコールに応え、そして深遠なストリングスのヴェールが敷き詰められた。
"Helicon 1"!?
と昂奮した直後
勢いよくバスドラのキック・ペダルが踏み込まれ、転回。
そう、それは"Mogwai Fear Satan"。
晩秋から初冬の澄み切った夜空を一人仰ぐような、あの何ともいえないセンチメンタルな空気を伴いながら、打ち寄せるリズムの塊と何度も旋回するギターのループが、素晴らしい飛翔感をもってハッチの夜を塗り替えていく。
刻まれる静寂
瞬間の轟音による素晴らしいカタルシス
会場を全くの別次元へと変えてしまった、今宵最高の轟音と閃光によりライブは終了。まさしく一片の隙のない濃密な空間に、終演後は完全に虚脱状態。いやはや凄いライブだった。
=Set List=
01.Christmas Steps
02.Friend of The Night
03.Travel is Dangerous
04.Tracy
05.Acid Food
06.Ratts of The Capital
07.Glasgow Mega
Snake
08.Killing All The Flies
09.I Know You Are But What Am I ?
10.Ithica 27 9
11.2 Right Make 1 Wrong
12.We're No Here
[Encore]
13.Hunted By a Freak
14.Mogwai Fear Satan