SUMMER SONIC 06@大阪

取りあえず行っとく?ってな感じで今年も参戦したサマーソニック。大阪では1日目に出演するMUSEに心惹かれつつ、2日目を選択。

午前10時。コスモスクウェア駅着。暑い。既にして溶けそうだ。リストバンド交換所は一箇所だけ!などと言うバイトスタッフの言葉は全く信用せず、インドアステージが並ぶインテックスへ向かう。やはりここの入り口でリストバンド交換可能。野外の交換所は長蛇の列。なのにこっちはガラガラ。毎度のことながら仕切りが悪い。

■AMUSEMENT PARKS ON FIRE■
本日一発目は英ノッティンガムの4人組シューゲイザーバンド/APOF。11時15分、定刻どおりに会場暗転。暑さと眠気でボヤケ気味だった意識を覚醒させるかのような轟音が吹き荒れる。オープニングは"Blackstar"。仄暗く、ヒンヤリとした空気が流れるステージの空間に満ち充ちるように、蒼き轟音がほとばしり、錯綜し、耳を裂く。しかししかし、まだ機材が温まりきっていないのか、ディストーションの歪みが激しすぎる。音がひずみ、割れている。ドラムスとボーカルの出力が高い分、流麗なギターリフ、メロディによるしなやかな展開の妙がかき消され、どうにも刺々しいノイズの狂騒が前面に出てきてしまっている。とはいえやはりこの轟音の昂揚、混沌、ノイズの衝動は素晴らしく、インテックス4号館のリスナーを荒々しく愛撫していく。締めの曲は個人的に大好きな"Cut To Future Shock"。フィードバックノイズの残響とともに、彼らは去っていった。

■65daysofstatic■
続いてはシェフィールドのポストロックバンド、65daysofstatic。この1年で飛躍的に知名度・人気が上昇した感のある彼ら。会場へ入るとやはり人。人。人。人の波だ。Mogwai meets Aphex Twinの形容でもって迎えられるその音。生音のダイナミズム、ドラムンベースの破壊的な音圧が高次元で収斂し、恍惚の爆音シャワーと化してフロアへ降り注ぐ。"Await Rescue"で怪しく蠢く高速の音塊群、一転、ロックへの憧憬を無邪気なまでの爆音に乗せて叩き出す"Retreat!Retreat!"で昇天。取り付かれたかのように楽器をブチ叩き、掻き毟るメンバーの姿もまた非常にカッコイイ。CD単位だと「すぐ飽きる」とか文句垂れてた私ですが、正直このライブには痺れた。単独あればまた観たいな。

■EL PRESIDENTE■
再びソニック・ステージへと舞い戻り、次なるバンドはグラスゴーの変り種新人5人組/El Presidente。と言っても全く聴いたことは無く。しっかしこのボーカリスト、Danteの胡散臭さといったら!ソウルフルでちょっぴりアダルトなポップ・ロックが次々と繰り出されるが、ソウルフルなのにその中にソウルは無く、、、と言った楽曲の嘘っぽさが逆に非常に面白い。ムーディーに身体を揺らすナンバーから、後半にかけてタテのリズムを強調していく楽曲へと移行していく様がまた上手い。物凄く昂奮するようなモノではないけれど、意外や意外、かなり楽しかった。

■THE RAPTURE■
そして本日一番のお目当てへ。マウンテンステージの中部にてダンシング・スペース確保。15時、メンバー登場。いやぁもう初っ端から音が刺さる刺さる。切れ味鋭いギターリフが脳天を刻むこの快感。まもなく来る新譜からの楽曲も数曲披露され、サックスの小刻みなフリカケが、これまた生々しい熱量を添付する。シャープでタイトでグルーヴィ。タテの躍動感の背後で、ドシャリと拡散するディストーションギターの衝動も素晴らしく。終盤の"House Of Jealous Lovers"での爆発、"Echoes"のシャウトで悶絶。身体を揺らし、クネリ、飛び跳ね昂奮。大満足。

■EDITORS■
まだまだ踊れよと言わんばかりに、続けて観たのはUK/バーミンガムの4人組。80年代N.Yの闇を感じさせる、知的な熱を迸らせるNWサウンド。一気にスペースの出来たフロアを突っ切り、最前ブロックへ。ギターをかなり高い位置に掲げ持ったボーカリスト、Tomとともにメンバー登場。寒色系のライトの煌きとともに、クールな音塊が拡散。フロアを跳梁。Interpolとの近似も大きいバンドだが、"blood"や"Bullets"といったイントロの爆発的な昂揚感でもって引き込む楽曲を多数備えているのが大きな魅力。端正ともいえる優等生的なサウンドだが、このボーカリスト、動きが非常に面白い。クネクネうねり、激しく動く様はさながら挙動不審者(笑)。しかし彼の動きが大きな磁場として上手く作用し、フロア前部は良い感じの盛り上がり。これまた良いライブだった。

■Devendra Banhart■
何故にサマソニにデヴェンドラ?という意外なブッキング。今度はアクアステージへ。コジンマリとした舞台の上へ、デヴェンドラ with バンドメンバーズが登場。デヴェンドラ・バンハートの楽曲はといえば、何よりもその声の磁場とどこか混沌としたものを感じさせるグルーヴが魅力なのだけれど、今宵はバンド体制ということもあり、かなり正統的なアーリー70sの雰囲気。レスポールの乾いたバッキングと柔らかなコーラス、スライド・ギターがしなやかに伸張し、サイケデリックな恍惚の世界へと連れ去ってくれる。ゆるーくゆるーく揺れるこの心地よさ。途中で客席から引っ張り出した観客とセッションしたり、変な覆面ダンサーが始終踊っていたりと、一風変わった空間がここに生まれていた。アンコールでやったセッションも良かったなー。

■The Flaming Lips■
個人的に初となるフレーミング・リップスのライブ!もうのっけから度肝を抜かれ、笑う笑う。19時30分、会場暗転。大仰な管楽器が鳴り響き、一大スペクタクルショーが開始。楽曲の化け具合は予想の範疇なのだけれど、なんと言ってもすのヴィジュアルの凄まじさ。ステージ左右には奇怪な衣装を召した数多の踊り子が配置され、中央深部にはエイリアン、宇宙飛行士、サンタといった巨大風船人形が揺れる。そしてスーパーマンが大小100個にも及ぼうかという風船を会場へ放出し、無数に乱舞する紙吹雪、打ち上げられる祝祭の紙テープの滝が観客席へ降り注ぐ。オープニングからしてまるっきりクライマックスかの如き狂騒。ムチャクチャだ(笑)しかし面白い。ピースフルという言葉がひたすら脳内に浮かびあがる、まさしく夢のようなステージング。しかし後片付けが大変そうだ。笑


全体を振り返ってみると、今年はこれまで参戦した中で最も楽しめたサマソニであったように思う。これだけ矢継ぎ早に多くのアーティストの演奏を観れたのも初であるし、スタッフの仕切りの悪さ、ノリの悪い周囲の環境といったものに拘泥しなくなった心境の変化も大きいのかもしれない。また来年も行くだろうなー。

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