SAXON SHORE@鰻谷Sunsui

最悪のタイミングで会議が入り、一度は諦めかけたSaxon Shoreの来日公演。が!会議を終わらせ会場に確認すると、昼間に吹き荒れた春の嵐の影響もあってか、かなり時間が押しているとのこと。間に合う!速攻で会場へ。

本日のハコ、鰻谷サンスイへ到着。日本のVampilliaというバンドが演奏中。ヴァイオリンが怪しげに鳴り、どこか90daymenにも通じる耽美なグルーヴを醸成していた。「以上、申し分無し」との言葉を残しステージを去ったバンドに代わって20時過ぎ、Saxon Shoreの面々がステージに現れる。簡潔なセッティングを挟み、開始。

2対のギター/ベース、計20本の弦が紡ぎ出す壮麗なフィードバックが充満、一瞬にしてフロアを彼らの世界へと呑み込んだ立ち上がりから、1曲目の"Isolated By The Secrets〜"へ。驚いた、、、フリッドマン効果だと思いこんでいた新譜での世界観は微塵も損なわれず、どころかその豊潤さは一層の深みを増し、繊細に、力強く鳴り響く。月光のように柔らかく明滅するキーボードの旋律と、煌めくクリアディレイ降り注ぐ導入部から、圧巻の轟音部へ。壮麗に爆ぜるsteveのドラミングの現前で、4人の弦楽奏者が巻き起こすその爆発的な音のカタルシス!背骨をへし折らんばかりの勢いで激しく上体を折り曲げるその光景、そしてそこから叩き出されるピュアな轟音の塊に、身体を芯から激烈に揺さぶられる。

"How We Conquered〜"での圧倒的なノスタルジアは、間違いなくその憧憬の濃度を増してフロアを包み、"With A Red Suit〜"では、駆け抜ける美しい叙情の奔流が、抜群のバランス下で聴き手の昂揚神経を絡めとリ、一気に昇華させる。そしてラストを飾った"The Lame Shall Enter First"。熱い血潮を内に秘めた、強くしなやかな音塊が吹き荒れ、ピタリと一点に収斂。直後、爆発的に弾け飛ぶ眩い叙情の轟音が、一部の隙もなくフロアに満ち満ちる様はまさに圧巻。

体当たりせんばかりの勢いでアンプに倒れこんだギタリストの姿は、限りの力をもってストレートに、素晴らしい音を叩き出した今宵のライブを象徴するよう。こんなにも真っ直ぐなサウンドで、いや、真っ直ぐだからこそ人を撃ち抜けるバンドは、たぶんそう多くはいないだろう。素晴らしいライブでした。

back