HOPE OF THE STATES@大阪バナナホール

 サマソニでの公演がことごとく好評価だったので非常に楽しみにしていたHOTSのライブ。が、、、開演時間を1時間間違えており、ちょっと焦りつつ会場へ向かう。18時少し前に到着すると、会場内ではMUSEの楽曲がSEで流れていた。「過剰性の美学」、どこかHOTSと共通するものがあるのだろうか。客はざっと150人弱か。映像がしっかり見渡せるフロア後方にて待つことしばし、会場暗転。唐突に流されたThe Ronettesの"Be My Baby"に続き、メンバー登場。1曲目は"THE LAST PICTURE SHOW"。背後のスクリーンでは、緑の芝生/白い家/そこで戯れる小さな子供たちを笑顔で見守る両親、、、幸せな家庭のホームビデオのような映像が流れる中、ディストーションギターが鳴り響き、激情の渦となった轟音が会場を覆い尽くす。その流れで突入したのはアルバムのオープニングトラック、"The Black Amnesias"。スクリーンには先ほどとは一転した、混沌の世界が映し出される。「新曲だよ」とのMCにより披露された"Bonfire"は、これまでに無いようなザクザクとした荒々しいリフを刻み込むギターと、それを飲み込むようにのた打ち回るディストーションギターが登場する激しい楽曲。「爆撃機・炎上する街・死体・電気椅子・虚飾に満ちたパレード」、人間世界の暗部をえぐり出すような断片映像が次々と写しだされるスクリーンを見ていると、「今僕たちがいるのは絶望に満ちた世界。希望なんて一片もないんだよ」と言われているような感覚に陥り、なんとも言えない気分になる。世界のどこかで間違いなく起きている事実から目を背け続ける人々を、HOTSというバンドは音を通じて容赦なく叱責する。しかし同時に、音と映像に打ちのめされたように立ち尽くすオーディエンスを柔らかく包み込み、救いの手を差し伸べるかのような光に満ちた楽曲を奏でるのもまた、Hope Of The Statesというバンドなのである。やはり彼らの音の根底にあるのは「希望」なんだろうと思う。

 「次が最後の曲だよ」と言われて慌てて時計を見ると、まだ40分ぐらいしか演っていない。短いとは聞いていたもののさすがに早すぎる(笑)。結局2度のアンコールがあったものの、1時間弱でライブ終了。若干の物足りなさを感じたものの、単純な昂揚感や安直な感動とはまた違う、今までに味わったことのない不思議な感覚を覚えた素晴らしいライブだった。



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