zOoOoOm/Eight My Heart

★★★★☆

 世界へ向けて放たれる3ピースの弾丸、京都発轟音サイケデリックバンド、ズームのデビューアルバム。全てを薙ぎ倒す破竹の勢いと、ダブやレゲエまでを消化吸収して生み出された抜群の完成度を兼ね備える素晴らしい作品。

 チャイムのように眩い光を放つクリアギターが、空間を軽やかに跳梁する手数の多いドラミングと融合し、次第に加速、沸々と昂揚感を湧きたてるオープニングトラック"ablution"により幕開け。思わず体が即応する悶絶ものの骨太リフを叩きつけるようにリフレインするtokuhiro、ほとんど判別不能なフレーズを深いリヴァ-ヴをかけながら吐き出し、完全に楽器の一部と化して空間に抜群の浮遊感を付与するnakasimaの声、その両者に負けじと爆走する機関車のような怒涛のラッシュで牽引するi.k.dのドラミングに圧倒されるTr.2"te.te.te.te"、ツェッペリンの"Immigrant Song"を思わせるギターリフを中心に次第に白熱、嵐のようなディストーションと噛み付くようなシャウトが吹き荒れる"Wild Coward"は、70sロックをズームというフィルターを透して再構築した激良ナンバー。そしてまだまだ終わらない。アルバムはハイハットの破片を砕け散らせながら舞い踊るドラミング、雷鳴の如くさん然と響き渡り、音速の壁を超えるべく疾走・加速するギターワーク、その上を軽やかに飛び交う声が交錯する3ミニッツソング"High Market"へと突入していく。

 とにかく半端ない昂揚感を掻き立てるアルバムだ。所々で感じられるダブのような緩いリズム感と、どこまでも「Rock」なゴツイ音塊が飛んでくるナンバーに、小躍りしたくなるような興奮を覚える。単なる「轟音」というフレーズでは形容できない、濃度100%の濃い〜いサウンドにやられました、完全に。素晴らしい。

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