YUCK/S.T

★★★★

ex.CAJUN DANCE PARTYのメンバー2人が在籍するUKのインディー・バンドによるデビュー・フル。

この脱力気味な変ジャケにも毒されたのか、当初はなんだか、掴みドコロのない印象に終わっていたアルバムだけど、surf's-upさんのレビューをきっかけに再度引っ張り出してみた今回、その楽曲の芯にある温度みたいなものにすっかり当てられてしまった。

ディストーションがかったナイーブなボーカルと、その感情を補足するようにバーストする轟音ギターが奏でるサウンドは、それ以上でも以下でもない「珠玉の90sオルタナィヴ」なギター・ロック。抜群のドライヴ感とともに疾走する楽曲も、陽だまりのようなギター/メロディにまどろむメランコリックなトラックも、その素直で等身大なフィーリングや肌に馴染むようなメロディがただただ気持ちいい。そこにPAVEMENTやGALAXIE500、SONIC YOUTHやLOW、あるいはDINOSAUR Jr.といった名だたる「インディー」大家の姿を見るかどうかは聴く人の年齢なんかによってそれぞれだろうけど、ここでかき鳴らされるギターや次々と表出する歌の温度には、聴き手の年齢性別を超えてパーソナルな部分から感情を熱くする魅力が宿っているように思う。

Listen
Buy