WOVEN HAND/Consider The Birds

★★★★

 元Sixteen HorsepowerのDavid Eugene Edwardsによるプロジェクト、Woven Handの3rd。神の存在が生活の中に色濃く溶け込んでいた中世のヨーロッパ世界を想起させるような、厳粛かつ壮大な広がりを内包する、独特の雰囲気をもったアルバム。

 芯の強い光を放つアコギの響きに、ピアノやバンジョー、バグパイプなど大小様々なストリングスが装飾を加え、そこへEdwardsの焦燥感に満ちた声が絡みつき、展開されていく楽曲はどれも相当に強烈。むせ返るように濃密なウッドベースと、ディストートされたボーカルが層を成すゴシックナンバー"bleary eyed duty"、太古の野性的なリズムを刻むドラムスと、雄叫びを上げるEdwardsの声が呪術的なグルーヴを生み出している"to make a ling"、物憂げなピアノの響きとともに、悲劇的な運命を嘆くように歌い上げる"oil on panel"など、全てにおいて特筆すべきはEdwardsの「声」。これだけ圧倒的な存在感をもったボーカルはそうそういないのでは。

 容易に踏み込むのが躊躇われるような、ある種の血生臭ささえ感じさせる神聖な世界観。時間軸や空間概念を超越して響く「異様な」作品。

http://www.16horsepower.com/discowhctb.html