WE'RE FROM JAPAN!/48Minutes, 7Seconds Then The Open Air

★★★★

ギター×2/ベース/ドラムというオーソドックスな編成で正攻法の叙情系轟音インストゥルメンタルを撃ち鳴らす、USポートランドの4人によるデビュー・フル。

轟音自体に蒼きエモーションが宿るウォール・オブ・ノイジー・サウンドの素晴らしさに加え、多くのバンドが如何にして轟音部のカタルシスを演出するかに腐心する中、彼らはそこから更に上、描き出された昂揚の次元を多重に塗り替えていくことを主に据えた展開を見せる。 最初期のモグワイを思わせる蒼きディストーション/ノイズが荒れ狂う海上を、さらに呑み込まんとする次なる爆音のツナミが立ち上がり、幾度にも渡って風景を覆していく。モグワイの"Ratts Of〜"や"Jewish"と共通するネクストレベルの音模様がもたらす昂揚感。もう無いだろうと思ったその先を何度も塗り替えていく轟音多重構造が、素晴らしく心地良く総身を揺さぶる。種々の先入観により聴かずにいると損をしそうな、かなりオススメなアルバム。

Now Breathe

★★★★

米国ポートランドの4人組ポストロックバンドによる2nd。デビュー作と比較して、かなりコンパクトな纏まりを感じさせる叙情の轟音アンサンブル、全7曲/48分を収録。

各パート/パートでの塗り分けがかなりキッチリとされてる、というのが印象的。沈鬱極まりないトレモロから、悲愴に吹き荒れる轟音渦へと突っ込んでいくオープナー"Black Bag Work"、一転、木漏れ陽のような煌きが降り注ぐTr.2"Bleed"では柔らかにココロを慰撫し、等身大の躁鬱が目まぐるしく入れ替わるTr.3"Climb Mountain, O Snail"、その流れをいっそうダイナミックな鋳型で魅せるTr.4"There Are Horses In The Streets"Tr.5"In Every Hive, A Queen"へと滑らかに展開。琴線を揺らすノスタルジックな旋律が轟音によって昇華するTr.6"Run Shoot Don't Panic"から、これまでの展開を1曲/12分で繰り返して魅せるような長尺ナンバー"September 13, 1848"へと連なり幕を下ろす。

俗に言う「叙情系ポストロック」の定型からハミ出る部分は無いのだが、全体で感じられる音の据わりの良さが妙に心を擽る。バンド名に釣られるように、これまでそのフックは日本人の琴線にハマる旋律に因るもんだと思ってたんだけど、今作で展開される音像に感じた「箱庭」的なスケール感こそが、実はそのキャッチネスの元なのかも、と思ったのでした。なにげに良作です。

www.myspace.com/wearefromjapan