N.Yを拠点とする5人組/The Walkmenの3rdアルバム。オープニングトラック"Louisiana"にて面食らう。カリビアーンなリズムセクションに、カラッカラに乾いたギター・バッキングが折り重なる。そして終盤で祝祭的に拡散するホーン/ピアノの煌き。薄暗くヒンヤリとした地下室から、陽光降り注ぐ海岸線へ這い出したかのように大胆な音の変容を見せ付けるこの楽曲にて一気に引き込まれる。
そしてこのバンドの肝であるヴォーカリスト、Hamilton Leithauserの声がやはり素晴らしい。時にディラン風な泥臭さを醸しながら、聴き手をスクラッチするかのようにがなるそのスタイルは、何ともパンキッシュで扇情的。また同様に、バンドの要の対を成すのがMatt
Barrickのドラミング。全身リズムの塊のような彼が叩き出す音塊は、ある時は大胆な躍動をもって、ある時は秘めやかな潮騒となって楽曲を牽引する。広く見れば前作からの延長線上に在る作品だが、モノトーンに近かったサウンドのあちこちに、カラフルな音の色彩が振りまかれ、ストレートな昂揚を煽り立てる瞬間が多く存在する。
ベストトラックはTr.8"Tenley Town"
一気に拡散する恍惚のギター・リフを背景に、高速のマーチングドラムが駆け抜ける。それらを叩き伏せんばかりの熱狂でもって空間をアジテートするHamiltonの声はもうタマラン。2度も来日しているにも関わらず、どうも知名度の低い彼ら。今作で火が付くか？
http://www.myspace.com/thewalkmen