VIDAVOX/S.T

★★★★

USマイアミのインストゥルメンタル・カルテット/Vidavoxによる1stフル。ギター×2/ベース/ドラムという極めてオーソドックスな編成ながら、そのタイトかつスリリングな展開の中で巻き起こされる小爆発的な昂揚の連発が、かなり刺激的でカッコイイ。

そのサウンドにおいてまず特筆すべきはベースライン。A.Gonzalezが弾き出す、粒立ちの良い中量級の旋律が広範に渡って揺れ動き、空間を一気に豊潤な色へと染めていく。様々な階層を行き来する彼のベースを基盤とし、そこにクリア・トーンから激しいディストーション、スネア・ドラムのライトな拍動からバスドラの重い圧殺までを絡めつつ、終始に渡って高い次元で伸張・展開していくサウンド・スケープは、相当に高いクオリティを誇っている。

個においても、そして全体においても極めて柔軟かつ流麗に伸張する楽曲群はどれも素晴らしいが、個人的なベスト・トラックは終曲"Sumo"。タイトルこそ意味不明ながら、のっけから西部劇さながらに荒野を駆けるギターが爆走し、月下の昂揚を思わせる蒼い静謐を挟みこみ、ツイストしながらキリモミ状に一挙昇り詰めて・・・と思わせながら終盤にて激センチメンタルでメロディアスなリフにぶん殴られるその昂揚。素晴らしいです。

ちなみに某海外サイトの情報によると、本作のリリースを最後にギタリスト/Carlos Vegaが数学の博士号を取得するためバンドを脱退、それに伴いバンドは現在主だった活動を停止しているとか。

http://www.myspace.com/vidavox