TYDE/Once

★★★★☆

元ビーチウッドスパークスのメンバー3人を含む、USの6人組バンド、TYDEの1stアルバム。ジャケットからも60年代の香りがそこはかとなく漂ってますが、中身のほうもByrdsなんかのカントリー、フォーク的要素が感じられる、60sサイケなサウンドをうまく消化しつつも、なぜか全く古臭さを感じさせない新しさを持った珠玉のギターポップソングが満載です。ギター、ピアノ、オルガン、シンセ、ラップスティールなどなど、全ての楽器の音一つ一つが、柔らかに差し込む光のようにキラキラと輝いていて、そこに乗っかってくるダレンのゆったりとした歌声が、なんとも気持ち良く響きます。どの曲も素晴らしいドリーミーサウンドを奏でているんですが、特に圧巻なのはあのオリンピックのフィギュアスケート銀メダリスト、ミシェル・クワンについて歌った終曲"Silver's Okay Michelle"。10分近くに及ぶこの曲での、全ての音が溶け合い眩暈を起こすように美しい光を放つジャムセッションでは、Spiritualizedにも引けをとらない恍惚感を感じる、最高のサイケデリアが生まれています

Twice

★★★★

01年のデビューアルバムが素晴らしかったものの、なんだかんだで購入が遅れていたTydeの2ndアルバム。このバンドも先に紹介したAll Night Radio同様、Beachwood Sparksのメンバーが中心となって結成されており、今作ではドラマーがVelvet CrushのRic Menckに変わっています。

前作と比べると、穏やかな光が乱反射するまばゆいサイケデリアは薄まったものの、リスナーの脳裏に間違いなく西海岸の風景を浮かび上がらせるカントリーポップ風味のメロディーセンスは一気に開花した感があり、Byrdsの影響も垣間見えるジャングリーなギターワークと、キーボード/ラップスティ-ル/パーカッションの軽快な響きが生み出す明るく力強いサウンドは、まさしく夏のサウンドトラック(特に様々な表情を見せるキーボードが素晴らしい!)。日差しが降り注ぐ浜辺でツイストする人々の姿が目に浮かぶパーティーチューン"Shortboard City"や、Darren Readmakerの渋い声とFeltにも通じるシニカルな雰囲気が印象的な、Tyde流ロックチューン"Blood Brothers"、ソウルフルなハモンドオルガンとセクシーなボーカルがToploaderを彷彿とさせる"Takes a Lot Of Tryin'"なんかが特に良い感じ。Thrillsが売れるのなら、このバンドももっと注目されてもおかしくないのになぁと思います。リリースはラフトレードから。



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