TWO TON BOA/Parasiticide

★★★☆

クラシックの素養もあるというベーシスト/Sherry Fraser率いるワシントン州のバンドによる1st。本作は先立つEPより7年の歳月を経てドロップされている。

量感豊かに躍動するベースラインと、バタつくドラムが濃密に場を埋めるその音は、さながら御大アルビニの仕様を思わせる。ミステリアスな空気を後景に、嗄れた低域で凄むSherryの声に導かれ、艶かしくささくれ立った空間がバウンシーに展開していく。

グランジの洗礼を受けていそうな暗い情動に満ち充ちた空間は、終始に渡って重く怜悧な昂揚を溢れさせる。が、言い換えれば少し一本調子な感じがするのも確か。弦楽のピチカート奏法やキャッチーな女声の掛け合い、自鳴琴風のメロディを随所で織り混ぜ表情に変化を与えてはいるものの、最後までその感を払拭することは出来ない。

全く違うタイプのバンドを思わせる奇天烈なジャケ写から伺えるように、独特の美意識を持っていそうな彼女の嗜好をさらにドギツク反映させていったならば、何やらもっと面白いモノが出来てくるかも。

http://www.myspace.com/2tonboa