TWO DOOR CINEMA CLUB/Beacon

★★★★

12月には来日公演も決まっている、北アイルランドの3ピースによる2ndアルバム。かねてよりコチラでプッシュされていたが、1stはそれほど強く印象には残っておらず、当時はここまでメジャーになるとも思わなかった。

そしてこの2ndアルバム。これがまた、絶妙なクセのあるアルバムですっかりお気に入りに。その特性はオープナー"Next Year"からして全開。アッパーなビート、フラッシュするエレクトロニカ、そしてそこから立ち上がるヴォーカルは、しかし驚くほどにナイーブでメロウ。このelectronica、ときにdance punkなインストと、アレックスが歌うドラマティックな美メロのギャップが聴くほどにジワジワと効いてくる。

開始3秒で切り込む類の爆発力とは違い、ここで鳴らされるサウンドの多くは緩やかな波に乗りやってくる。しかしその漣は確実にアナタを捉える。滑らかでファットなベースライン、次いで素晴らしい勢いで膨れ上がるエモーショナルなグルーヴが琴線を掴み、アナタを揺り動かすのだ。"Sun"、"Spring"、それに"Someday"といった素朴なトラック名が並んでいるように、彼らのサウンドはありふれた日常の、それでいてその言い様もなく美しい「感情」の深みを鳴らして聴こえる。朝の光が伸びやかに起き上がり、夜の昂揚が切ないビートを促進させるミュージック。インディー・ライクなパッションとメジャー・スケールのエモーションがうまく結びついた、と言葉でいうのは簡単だけども、おいそれとは出難いソレがこのアルバムには在るように思う。

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