昨年リリースされたExplosions In The Skyの2ndを聴いた時に感じた、良い音楽に出会った時の純粋な喜びを再度認識させてくれたアルバム。Tracer
AMCは北アイルランド出身の4人組ポストロックバンドで、これがデビューアルバムとなります。2ギター/ベース/ドラムという編成は至極真っ当なものながら、演奏にかける集中力と、タイトで抜群に息のあったバンドの結束ぶりがヒシヒシと伝わってくる素晴らしい内容の作品。
スパパパンと叩き込まれるドラムスに、流麗なバイオリンの音色とメランコリックなメロディーを奏でるクリアなギターの響きが、Sonnaにもっと疾走感を加えたようなジャジーな雰囲気を持ったサウンドを構築し、EITSのようなダイナミックな轟音ギターまでもが流れ込んでくるドラマチックな展開のTr.1"Some
Electic"やTr.6"Blue Thread"、五月雨のようなサンプリングを背景に、ゆったりと感傷的なギターが流れ、シネマティックな広がりのある空間を作りだしているTr.7"Anvil
Point"、重厚なドラムラインに、澄んだギターのアルペジオがこれまたメランコリックなメロディーを奏で、中盤からディストーションギターと共に一気に加速するTr.9"Copenhagen"など、捨て曲一切なしのグレートな内容です。各曲ごとに独自の特徴を持たせながらも、アルバム全体は同一の雰囲気で統一されているところもグッドです。
初期Mogwaiばりの、日本人好みのノスタルジックで感傷的なメロディｰセンスの素晴らしさはもちろんの事として、各曲における緩急織り交ぜた展開の妙や演奏に際しての間の取りかたなどに、並みのバンドとは一線を画する卓越したセンスを感じます。いや〜また楽しみなバンドが出てきました。
http://www.traceramc.co.uk/amcaudio.php