THE SUNSHINE UNDERGROUND/Raise The Alarm

★★★☆

英国はリーズを拠点とする4人による1st。ダンサンブルな種々のファクターを掛け合わせ、躍らせる。

金属ギターの小片カッティングでザクザク刻み、カナキリ・ヴォイスが場を縦に裂く。オープニングナンバー"Wake Up"が放つサウンドは、モロにThe Raptureを思わせるそれ。が、続く"Put You In Your Place"でその様相をちと変える。底部で轟く野太いベースとバスドラが織り成す分厚い波動は、後期Stone Rosesを思わせるマンチェのグルーヴ。強烈に場を牽引するリズム隊に導かれ、ハイトーン・ヴォイスが舞い踊り反復し螺旋を描く。初期のThe Musicを思わせるその音の渦巻きはなかなかにカッコイイ。続く"Dead Scene"・"Way It Is"においても、大胆にエフェクトがけたドラミングに加え、クルクルと表情を変えるギターを織り交ぜ小休止、転調しながら空間を縦横に揺らしていく。

しかししかし、突如としてFranz Ferdinandを思わせる「唄」にスポットを当てた"Commercial Breakdown"から、どうにも良くない方角を向き始める。懐メロの如きメロディがココでは悪い作用をもたらし、場は一気に弛緩。アルバム終盤で再びダンサンブル指向に回帰するも、イマヒトツ掴み切れずに幕を閉じる。

猿の如く躍らせたいのか或いは憂いを聴かせ震わせたいのか、今作ではどうにもその双方への色気を棄て切れずにいるように響く。意地悪に言うなら、The Raptureの如きクールに突き抜けた狂騒も、The Musicばりの本能に突き動かされた人力グルーヴも、はたまたKasabian然とした大衆を揺らすハッタリ感も産み出すには至っていない。

基本スペックは良いモノを持っていそうなので、彼らが言うところの「踊るための楽曲を作る」という点を惑わされずに、妙な色気を出さずに突き詰めていけば、あるいは化けるかも。二重の意味で次作が楽しみな、そんなデビューアルバム。

http://www.myspace.com/thesunshineunderground