SUBARACHNOID SPACE/Also Rising

★★★★

San Franciscoを拠点に活動する4人組instrumental/psychedelic/spacerockバンド(長くてすいません、、、) の最新作。リリース元のStrange Attractは最近ではKinskiなんかもリリースしています。

インナースリーブに「This album is intended to be listened to from start to finish as one piece of music.」と記載されているように、曲中の展開・各曲の繋がり共に広がりのあるスペーシーなギターサウンドとかなり凶暴なriffやドラムビートの対比が非常に面白いアルバムです。オープニングトラックの"The Harsh Facts Of Life"の前半部では、メロディアスに伸張していくギターサウンドにMogwaiの影が一瞬見えますが、それが中盤でむちゃくちゃ重いギターリフと脈動するドラムサウンドに塗り替えられ、終盤でその堅固なサウンドの檻の中から無理やり這い出すかのように暴れまわるディストーションギターが出現する展開が物凄くスリリングでカッコ良いです。続くTr.2"Deep End"でも、GY!BE辺りを連想させる物悲しいバイオリンのストリングス (しかしこれはバイオリンではなくギターの音を変形させたものだそうです。驚)に導かれる前半部から、終盤にかけて一気に加速する展開が見られます。そして個人的にベストトラックなのがTr.5"Burn Shot"。stoner rockばりのゴツゴツしたリフと、傍若無人にメロディアスなフレーズを叩き出すホワイトノイズの掛合いが非常に良い。

ミニマルな手法で攻めるポストロックバンドが多い中、このアルバムはかなり強烈なインパクトを持って響きました。興味がある方は↓で試聴してみてください(少し大人しめな曲ですが)。
http://www.subarachnoid.com/index.php?page=Audio

Also Rising

★★★★

 サンフランシスコ発4人組、Subarachnoid Spaceの約2年ぶりの新譜。地響きを立てながら空間を蹂躙するマシンガンベースとヘヴィリフ、その重機隊が踏み鳴らした大地の上で展開されるのは、広大な空間を描き出すディストーションサウンドが舞い踊る、ドラッギーなスペースロック。ドローンな雰囲気漂うサウンドスケープのキャンパスに、的確に鋲を打ち込むドラミング、その上を前作よりもメタリックな響きを増したギターワークが、大きな螺旋模様を描き殴るように一気に飛翔・拡散していく。

 かなりのヘヴィサウンドでありながら、敏捷な展開とプログレッシブな空間作成能力を併せ持つ彼らのサウンドは相変わらず凄い。所々でその姿を露わにする、中世の古城を想起させる狂乱のギターフレーズもまた魅力的。いつか生で観てみたい。

Eight Bells

★★★★

US西海岸のプログレッシヴ・サイケ、09年発の新作。近年在籍していたStrange Attractorsを離れ、Crucial Blastからのリリースとなった今作だが、とりわけメタルやグラインド色が強くなったということはなく、繰り広げられるサウンドは相変わらずスペーシィな空間にのたうつ大蛇(おろち)的なソレ。

くも膜下腔、っちゅうユニークなバンド名もあってか覚えているんだが、このサイトで初めて書いたレビューがこのバンドの"Also Rising"でありました。なんかヘンなの取り上げたなぁと思う一方、当時もっぱらUKロックに首ったけだった自分でも問答無用に「カッコイイ」と感じたこのサウンドはやはり非常に魅力的。先に「蛇」と書いたが、聴けば思わず「蠕動」とかいう単語が思い浮かぶ、蠢き連環する音の像。一種爬虫類的な気色のわるさを纏いつつ、轟然と湧き上がる巨大な轟音の襞、そして襞。サイケデリックな揺蕩い、というよりは巨大な渦巻きで絞め上げるような展開を見せ、終には強靱な顎(あぎと)で噛み砕くように重低のリズムが襲い被さり、一挙呑む。大掛かりなスケールはそのままに、随所でそうしたダイナミズムが仕掛けられた今作。ジャケットはなんだかキモチ悪いが、中身の音はかなりイイので一度聴いてみて。

http://www.myspace.com/subarachnoidspace