THE STROKES/First Impressions Of Earth

★★★★

 年明け早々、というか元旦にリリースされたThe Strokesの3rdアルバム。プロデュースを担当するのは、シュガー・レイらを手掛けてきたことで知られるデヴィッド・カーン。さらにミックスには、ニルヴァーナやRATMらとの仕事で知られるアンディ・ウォレスを起用している。

 乾いたギターリフが小気味良く刻み込まれ、リズム隊が軽やかに弾ける"You Only Live Once"で幕開け、鈍く輝くメタリックリフとジュリアンのドランキーな歌い回しが炸裂、新たな表情を剥き出すTr.2"Juicebox"で良くも悪くも聴き手を惹きつける。機会の如く精緻なドラミングの上、唄うギターフレーズと歌い上げるジュリアンの声がシンクロする"Heart In A Cage"、中盤・終局にてギター/ベース/ドラムの3者がズバリと見栄をきる瞬間の昂揚感に背筋がザワつく。サビのリフレインが緩やかに気分を昂揚させるTr.5"On The Other Side"からまたまたヘヴィ・メタリックな早弾きフレーズが全体を牽引する"Vision Of Division"へ、メロトロンの柔らかな響きにジュリアン・カサブランカスの熟したヴォーカルが溶け込むレトロ・ムーディーなTr.7"Ask Me Anything"周辺では作品にロマンティックな芳香が広がる。と同時に非常に熱い。Tr.10"Fear Of Sleep"、"Ize Of The World"などでの「胸をえぐる」ような熱を孕んだジュリアンのヴォ-カライゼーションには、従前のスノッブな雰囲気など微塵も感じられない。

 音作りや曲風でかなり幅のある楽曲群がひしめくだけに、1stのような作品トータルとしての印象を抱きにくいものの、個人的に聴いていてかなり熱くさせられた。一旦は鎮火してしまったストロークス熱を再燃させる巧さと新鮮さを感じた秀作。