Sterling/S.T

★★★★

 シカゴのインストゥルメンタル・ロック・カルテット、Sterlingの03年リリースの2nd。久々に聴いたらかなり良かったのでレビュー。

 ゴシック、耽美的、重厚にして繊細な暗澹たる気配。主となるはピアノ。それが放つ重低域は五臓にダイレクトな揺さぶりをかけ、その一方でセンセーショナルな高域の旋律が耳朶に突き刺さる。空間に重い重い楔を打ち込むドラミングは、時に激しく転回し、また時としてダークムーディーなベースラインが描き出す漆黒の空間に、覚醒的なハイハットの破片を降り注がせる。さらに特筆すべきは2本のギター。先のピアノストリングスとのユニゾンにより完璧な世界観を構築するそれは、しかし随所で自らが構築した美を破壊するかのように、狂的とも言えるドラスティックな旋律を弾き出す。

 全8曲40分強。全てのトラックが連鎖・溶解し、完全なる異世界を演出する。90DayMenが好きな人は是非!と書こうとして調べてみたら、今作にはその90daymenのRobertがゲスト奏者としてクレジットされており、さらに現在は90DayMenのキーボード奏者Andrew Lansanganが固定メンバーとして加入し、新作をレコーディング中とのこと。少しアクの強い音なので万人にお薦めはしないけれど、強烈にドラマティックな音塊はかなり魅力的。しかしこのジャケで絶対損してると思うが、、、

http://www.file-13.com/artists/artist.php3?id=sterling