SOUVARIS/I Felt Noting At All

★★★★

 「この音が永遠に続いて欲しい」と願う瞬間がある。Mercury Revの"opus 40"やMogwaiの"helicon 1"、Oasisの"Champagne Supernova"など、その多くはバンドの卓越した演奏が生み出す音の魔法とも言うべき非日常空間に、オーディエンスが一体化した奇跡的な瞬間にしか味わうことの出来ない至福の感覚であるが、これがデビュー作となるUKの6人組Souvarisは、バンドアンサンブルが生み出すそういった輝かしい瞬間を、アルバムというフォーマットの中で何度も繰り返し訪れさせることのできる、類稀な才能をもったポストロックバンドである。

 ギター/ベース/ドラム/キーボード、そこへ時にサックスやオルガンの音色が投げ込まれ、溶け出し、そして全てが混じり合う、、、そのドラマチックな音の混合物には、当然ながらGY!BEやMogwai、EITSといったバンドのスパイスを感じとることもできるが、喜びや悲しみ、驚きや怖れ、そしてまだ見ぬ世界に対する狂おしいまでの好奇心といったような眩い光を放つ大きな感情が、圧倒的なスケールを誇りながら自己の内に存在した、幼少期のノスタルジアを具象化したような音世界はSouvaris独自のものである。

 こういった音を言葉で表現するのは非常に難しいし、ともすれば無意味かもしれない。全4曲で70分超という内容もまた、決して取っ付きやすいものではないかもしれない。しかしその中で幾度となく姿を現す、眩暈のするような音のシャワーが生み出す昂揚感は、やはり何物にも代え難い。
http://www.souvaris.com/sounds.htm