SINGAPORE SLING/The Curse Of Singapore Sling

★★★★

一聴した瞬間に「あっ、ジザメリだ」って思いました(笑)。Singapore Slingは、アイスランドのレイキャビクで結成された6人組。これがデビューアルバムだと思うんですが、母国ではそこそこ有名なバンドみたいです。前述した通り、臆すことなくジザメリからの影響を感じさせるノイジーギターを轟かせる彼らのサウンドは、真新しさはないものの、この手の音が大好きな人間は間違いなくノックアウトされるであろうものすごく強烈でカッコ良いフィードバックノイズに埋め尽くされた硬質な世界。

Tr.1の"Overdriver"からしてFuzzギターの暴風雨といった感じで、何重にも折り重なるフィードバックギターの波とメロディアスなフレーズを呟くボーカルの渋い声に冒頭から引き込まれ、曲の終盤の3ギターの狂演に打ちのめされます。むちゃくちゃ気持ち良い。Tr.2"Summer Garden"はアコギとタンバリン、キーボードがメインで、House Of Loveなんかも思わせる独特な音響空間を持った曲。Tr.3はメタリックな響きのギターサウンドがSwervedriverっぽい。Tr.6、"Roadkill"はインストナンバーでここでもFuzzギターの轟音が全てを塗りつぶしていくように暴れまわるんですが、キーボードとマラカスのサウンドが不思議な浮遊感も与えています。その勢いのまま突入しさらに加速するのが"Listen"。リヴァーヴがかったボーカルと、ギュゥウオオオォォオオオと竜巻のように全てを吸い上げ、途中で一瞬の静寂を挟みながら一気に昇り詰めていくホワイトノイズとフィードバックの洪水が最高。

久しぶりの掘り出し物バンドです。ジザメリ、Swervedriver、Black Rebel Motorcycle Club、Mudhoneyなんかが好きな人は聴いてみてもいいかも。

Life Is Killing My Rock'n'Roll

★★★★

前作から15ヶ月、比較的早いスパンでリリースされたアイスランドの轟音ノイズバンド、Singapore Slingの2nd。

低いトーンの唸るようなボーカル、原始的なドラムビート、徘徊するキーボード、そして彼らの代名詞でもあるフィードバックノイズに塗りつぶされたギターの暴風雨。これがこのアルバムの全てである。ノイズが牙を剥く凶暴な曲群と、浮遊感のあるメロウな雰囲気の楽曲が入り混じっていた前作と比べると、今作ではブリザードのような轟音ギターが吹き荒れる、非常に攻撃的なナンバーが全編に渡って貫かれている。

反復する抑揚の少ないメロディー、同一のフレーズをリフレインするリードギター、そこに中盤で雪崩れ込むMAX音量のフィードバックノイズ。はっきりいってほとんど全部同じに聴こえる。しかしながら、繰り返し打ち寄せる轟音の渦の中にただただ身を浸している中で生まれるサイケデリックな昂揚感はやはり何物にも代え難い。ベストソングは、メーターが振り切れた状態で拡散するディストーションギター、そしてさらにその上をいく金切りノイズがのた打ち回るTr.6"Twisted And Sick"。J&MC、Swervedriver、この辺が好きな人は一度聴いてみてください。



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