SERJ TANKIAN/Harakiri

★★★★☆

この蠱惑的な磁場、引力は何なのか。ご存知SYSTEM OF A DOWNのフロントマン/Serj Tankianの新作にメロメロ。

ソロ名義としてはこれが3枚目。鋭いメタル・テクスチャと、中近東のフレーヴァーを溶かし込んだメロディラインが暴れる。相変わらず背後には重い世界を背負って響く楽曲だが、そのアプローチ自体はきわめてシンプル。とりわけ今作では、複雑な展開や特殊なアプローチは採られておらず、それが却ってこの人の無二の才能/世界観をダイレクトに表出させる。

開始1秒、暗鬱といってもいい旋律から疾走する"Cornucopia"はラストにかけてダイナミックに開放。続く"Figure It Out"では刻み込まれるメタル・リフ&ラップで瞬殺、さらにはその韻律と旋律が呪術的にグルーヴする"Ching Chime"でもうね、完全に魅了されちゃうわけですわ。琴線を震わすエキゾチックな昂揚感、邪悪なモノに臨むゾクゾクとする昂揚感、血液を沸騰させる類のアグレッシヴな昂揚感etcetcetc...叙情的で暴力的で鋭くも脆い感情の渦。マジでどこにも捨て曲がなく、ハナっから最後まで取り込まれる。MUSEばりのメタルリフが背景でトグロを巻く"Forget Me Knot"でグサリ止めを刺されました。傑作、という位置づけは似合わないのかもしれないが、ローテーションの頻度で言えば間違いなく最高級にイケている、そんな怪作にして快作。

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