SATELLITE LOST/The Devil's In The Details

★★★☆

N.Y州南東部、ロングアイランドの4人組によるデビューフル、にしてラストアルバム。解散決定後にレコーディングされたという今作には、ある種独特の緊張感が漲っている。

打撃系の太いバス・ラインと、強いアタックで叩き込まれるドラムを推進力に、拡散するキーボードが空間をエクステンド、暗い昂揚を孕んだ煌びやかなクリア・ディレイの旋律が旋回し、激し昇り詰めていくTr.1"It's You Or Me Now"/Tr.2"Driving Down Solar"は、HOTSを思わせるインストナンバー。Tr.4"Cydonia"では鍵盤を飛び道具的に用い、決して巧みでないがエモーショナルな歌を絡めつつ、邪悪な衝動を放つセッションへと雪崩れ込んでいく。

ベストトラックはTr.6"24 Hours Of Treading Water"
プリミティヴに打ち鳴らされるドラムが生み出す上昇気流に、絡みつくようなベースがウネり、降り注ぐギターの煌めきと共にツインボーカル、トリプルボーカルでもってピュアな感情を歌い上げていくこの楽曲は、良くも悪くもEITSやGY!BEの影響下にあることを思わせる作品中で、最も強く独自色を放つインパクトを持っている。

先に述べたように、バンドは既に解散。プラシーボ効果かもしれないけれど、全編に渡ってその歌声はどこか悲壮に響き、アンサンブルは冷涼なテンションを孕んで耳に届く。それがなんとも面白い。メンバーのうち2人は現在、Gracerというバンドで活動中。

http://www.myspace.com/satellitelost
http://www.myspace.com/gracer