RUSSIAN CIRCLES/Station

★★★★

ex.DAKOTA/DAKOTAのメンバーを含む、Chicago産インストゥルメンタル・トリオの2nd。メタリックなテクスチャ色濃く、厳つくグルーヴするナンバーは同郷のPelicanにも通じる。が、怒涛の爆音ロールで有無を言わさずさらっていくPelicanと比べると、こちらはパーツ/パーツでの表現幅がもっと広い。で、とんでもない変化球もアリ。

簡単に言うならその音は、ポストロッキンな展開の昂ぶりと、暴力的に圧し進むヘヴィネスを掛け合わせた代物。意表を突く入れ子構造や転換により存分に惹きつけながら、ココゾという場面で一気に炸裂する音塊が凄まじくカッコ良い。

エフェクティヴに上空を飛び交うギター因子が幾重にカラミ合い、流れ、昇り詰めるオープニングの"Campaign"。そこから一気に大地へ降り立ったリズム隊が屈強にロールを開始する"Harper Lewis"は、中途から激ヤバなリフが顔を出し、剛腕裁断仕様のへヴィな縦ノリ路線へと突入。重量級のビートが跳ねるMASTODONライクなTr.3"Station"では、これまた体液が突沸するようなメタル・リフが整然とアバレ出し、終盤ではEITSばりのマーチングドラムを破るように、地底からスペーシーな轟音ギターが湧き上がる展開へと移行する。

書き上げればキリが無いが、曲中/曲間における展開の読めなさはかなり高く、それでいてキメる部分でのカタルシスも半端ないという素晴らしさ。トレモロギターが咽び泣き、ノスタルジックなシンセの波上をドラムが涼しげに泳いで廻る"Verses"なんちゅう隠し玉(一緒にiPodに入れてたUnwed Sailorだと錯覚した)があったかと思えば、今度はDakota/Dakotaを思わせるmathなギター・ワークから、整然たるヘヴィ・メタリック構築美を築く"Youngblood"へ展開し、最後はアブストラクト→叙情の揺らぎ→ノスタルジックな感傷→湧き上がる重低轟音へと連なる"Xavii"で完璧な幕引き。全6曲43分に渡りほとんど隙無しの、かなりキテル作品。ジャケットもクール!

Empros

★★★★

その表現力/インパクトを格段に増してきた4作目

USシカゴの3ピースによる新作は、その瞬発力構成力破壊力いずれをとっても一級品の、極上のインストゥルメンタル・メタルサウンドを展開する。

ややアブストラクトな雰囲気が強かった前作から一転、今作では巨大な殺戮マシーンを思わせるリフ/リズムが轟然と展開するオープナー"309"からツカミは抜群で、勿体ぶった余白なしに突きつけられるアグレッシヴな爆音に興奮は一挙、突沸する。高域を飛ぶ茜色の旋律が、直後闇色のダークネスに引きずり込まれる"Mladek"はさらに素晴らしく、次々と移り変わり鳴り渡るそのサウンドからは、同じくシカゴの先達/PELICANに匹敵する雄弁な叙情性が感じられる。穏やかな感傷の揺らめきから刹那、劇的な轟音が炸裂する"Schipol"、再び巨大なタテの律動を始める轟音に叩き潰される"Atackla"、切り刻みねぶり荒々しく突き上げすり潰すギターが完全に聴き手を殺しにくるキラーチューン"Batu"、そしてあぁなんて優しい歌なんだこれは、、、最後に流れるのは傷つき荒んだ魂を慰撫し、光射す高みへと引き上げてくれる轟音の賛美歌"Praise Be Man"

もう一度書くけれど、今作はその瞬発力構成力破壊力いずれをとっても一級品の、極上のインストゥルメンタル・サウンド。いやはや恐れいりました。素晴らしい。

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