THE RAPTURE/Echoes

★★★☆

post punk/disco punkムーブメントの枠で括られているバンドにはあまり触手が伸びなかったんですが、このRaptureに関してはあまりにもあちこちで話題になっていて絶賛されていたので気になってました。

なんとなくもっとアッパーでどちらかというと明るい曲調のダンスチューンが並んでいるんだろうと思っていただけに、アルバムを最初に聴いたときはかなり驚きました。冒頭の"Olio"はシンセにビートとパーカッションと、踊れる要素はしっかりとあるものの、キーボードの不穏な旋律と「over and over again...」とリフレインするLuke Jennerのキーの外れたボーカルがなんとも混沌とした雰囲気を放ってます。Tr.4の"I Need You Love"もその路線で、反復するハウスビートに水泡がはじけるようなエレクトロニカサウンドとサックスの音色が彩りを加え、Jennerの神経症的なボーカルと合わさってタイトながらも体を芯から突き動かすようなグルーヴを生み出しています。Tr.6の"House Of Jealous Lovers"は文句なしに踊れる最高のアッパーチューン。どの曲も聴いていると体が動き出さずにはいられないようなダンスビートに彩られていながら、展開の読めない一種の毒々しさのあるサウンドはかなりの中毒性をもっていて癖になります

Pieces Of The People We Love

★★★★☆

DFAを離れ3年振りに届けられた2nd。いやぁ、かなり良いアルバムです。神経症的に張り詰めたテンション、怜悧、闇、衝動、狂気なんてフレーズが頭を飛び交う、ヒンヤリとした地下室にて繰り広げられる熱い狂騒を思わせた前作からクルリ、音がかなりの変容を遂げている。

良い具合に"隙"を孕んだ音の開放感が、運動神経に直作用して身体を揺らすリズムと共に、こちらの昂揚を煽り奉る。イントロは肩透かし、とばかりに軽い音で幕を開け、しかしチャカポコいってるパーカッションや脱力しきったキーボード、サックスといったオブジェクトが連続して速射され折り重なり、いつの間にやら激ファンキーで最っ高のグルーヴ渦巻く空間を創出していく様が相当にクール。

16ビートが刻み込まれ、太っといベースがズンドコズンドコ、軽快に弾けまくるリズム/揺れるキーボードが背後を固め、女声コーラスとの掛け合いを猥雑にサンドイッチしながら、オマエラ踊レ☆とばかりのダンサンブルチューンを叩き出すTr.6"Whoo! Alright-Yeah...Uh Huh."で猿の如く踊り狂う。さらにはフィードバックノイズを背後で踊らせ、歪んだギターの爆音でドシャリと叩き落すTr.9"The Sound"に至っては、コイツラこんな音も出せるのか!と興奮することしきりの陽快にして熱いロッキンナンバー。

ひたすらカナキッテいたLuke Jennerのヴォーカルも、今作では多くで「歌って」おり、ラプチャー流サイケデリアが燦然と輝くTr.10"Live In Sunshine"のようなスローなナンバーで、キッチリと幕を引く。

アホみたいに騒がれて自分を見失い、早々に潰れていく新人勢が多い中(おそらく相当な試行錯誤を経て)こんなに素晴らしい作品を生み出した彼らに感服。単独での来日を切に希望!

http://www.myspace.com/therapture



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