PULLING TEETH/Martyr Immortal

★★★★

USボルチモアのメタリック・ハードコアバンドによる2nd。俗世に渦巻くマイナス・オーラを圧巻の空間的ヒズミとして蔓延らせ、殺気立つ鋼の瀑布をグシャグシャと浴びせかける怒涛の百景。黒い衝動をムンムンとばら撒きながら、快楽中枢をブチ抜く爆奏は極めて妖しくキャッチーだ。

7分を超す楽曲もあれば、22秒で粉砕する曲も在り。即ち全てがもれなく機能的なパーツとして連動し、全体の重量感/殺傷性/ドライブ感を巧みに演出する。口汚く罵り続ける本能的なヴォーカルしかり、疾走轟音パートの背後でピロピロやってるギター、突発的にブラストするビートやドゥーミィな脅迫リフ等々が相まって表現される、灼熱に煮え滾ったドス黒い爆音プール。とことん闇めいており迫力深い一方で、端々で感じられる遊び的な軽みや余裕が音像の中毒症状を絶妙に緩和。それこそ何度でも何度でも、何杯でも喰らえるぜ。容赦なく降りしきり打ちつける黒い豪雨。身も心も隈なく蹂躙される音景に、マゾヒスティックな喜びが覚醒いたします。

Paranoid Delusions Paradise Illusions

★★★★

噴出するジャンクネス!生き急ぐことこの上なく性急!
黒煙を上げる憎悪に裏打ちされた攻撃的な爆音でけしかける、USボルチモアのトリオによる3rdアルバム。前作から1年半、比較的短いスパンで届けられた今作だが、ほとんど同質であった1st〜2ndと比べると、その構成にちょっとしたビッグバンを見ることがッ!

ひたすら速く、早く、加速度的にその爆音/熱量を撒き散らし玉砕していた音像(怨像?)は、今作はその多くでクログロと堆積する瞬間を見せつける。ドゥームの系譜にも潜り込みそうな、陰惨なリフがのたりとのたうつ冒頭が印象的。これ以上ないまでに絶望的なシャウトがヘヴィに渦巻く出だしで引っ張り、やがて走り出すリズムと共に、一撃必殺の艶かしいメタリック・ギターが噴出する瞬間にキ、キ、キタァー!!!と狂喜。トータル5曲/23分で完結する一遍の地獄絵図。ラスト近辺で長々と流れる鳥の囀りなどビミョーなところもありますが、緩急のコントラストをおもっくその渾身で殴り描いてみせたよな楽曲は、これまで以上の激性ドラマティックを感じさせてくれてやはり燃えまくるッ!

前作に引き続き、アートワークを手掛けるのはJeff Beckman。見開きで天国と地獄絵図が並ぶイラスト仕様は、今作の狙いと寸分違わず同期しておって格好良いデス・・・※アハハー!このジャケちょっといみりさん入ってるよーと思ったのはここだけの話デス。

http://www.myspace.com/pullingteethmd