OBAKE/S.T

★★★★

なんだキワモノかよ
と思ったのは私だけではないはずだ。ところがこのサウンド、お不戯化でないヘヴィネスに聴き手を沈め、悶絶させる。

ジャンルでいえばexperimental/doom/stonerとかになるんだろうか。既にしてサタニッシュな黒さも滲み出す、強烈な密度のヘヴィ・リフ。巨大な牛のバケモノが、熱い鼻息を吐き吐きズリズリと足を引き摺り迫ってくるような、生々しい圧力を伴うサウンドスケープ。その空間をチョークするような爆音と悪魔の咆哮じみたヴォーカルは、しかし絶妙なリズムの変遷、破竹するアッパーなリフの仕掛けによって確たるグルーヴへと練り上げられる。この停滞し充満する爆音と、地獄の釜じみて沸騰するグルーヴ、そして時折この世ならざる狂宴を噴出させるカオティックなパートのコンビネーションには、思わず振り返って見ずにはいられない異形のインパクトが宿る。

いやなんだこいつら、スゲー。と思ってよくよく見てみたら、なんとZUのベーシスト/Massimo Pupilloによる新プロジェクトでした。そう思って聴けばこの独創的な重みを持ったリズムの狂典は、まさしく彼のそれ。さらにドラムはMERZBOWやThe Kilimanjaro Darkjazz Ensembleなんかで叩いてたBalazs Pandi、ヴォーカルはOWLSのLorenzoと何気に凄い。出来れば来日してほしい、がこのメンツだと無理かしらん。

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