MESHUGGAH/Nothing

★★★★

杜塚さんのレビューを読み購入。激す重音塊でこちらをテクニカルに叩き潰す、from Swedenなバンド。今作は02年リリースの2ndアルバムに、ギター再録/リミックスをプラスした再発盤。

ボウガンの矢の如くビョンビョビョビョウンと飛び来るベースの質感が異常に生々しい。堅牢精緻な檻を打ち立てるドラムの叩きっぷりが終始凄まじく、傍ら裁断裁断首裁断ってな感じで笑顔でその蛮刀を断続的に振り下ろし、超重機の如き存在感で空間を磨り潰すギターの圧力も相当なもの。濃密なチョーク・サウンドの濁流。

メロディの起伏を力ずくで捻じ伏せるかのような重塊音が、間断なく側頭を撃ち揺らす。圧倒的な技量で組み上げられる整地な鋼の要塞は、しかし内部に押し込められ蠢く無数のナニカをはっきりと感じさせ、その何とも言い表せぬ無機と有機の気配の対比が、圧倒的な存在感となりコチラを圧する。

その密度とは裏腹に、ストイックとも言うべき展開には決して即効性が有るとは言えない。が、巧すぎて半ばこちらの無意識下で作用・展開していくドラムの律動は、知らず本能的な昂揚中枢をグワシと掴み、そのまま有無を言わせず引きずっていくようであり、その感覚に一拍ののち強烈な昂奮を覚える。時折メロディアスに空間を飛び交うギターの戦慄きは、みっちりと中の詰まった鉄の塊をそのままグニャリと曲げて伸張させてみせる。

その重さがハッタリでなく、また表層的な展開というよりその存在感のみで聴き手を圧する孤高の音は、NeurosisやJesuに通じるところがあるかもしれない。首根っこを押さえつけられ有無を言わさず音の濁流へと頭を突っ込まれるような、抗えぬ魅力が強烈な作品。

http://www.myspace.com/meshuggah

Obzen

★★★★

変質的に絡み合う猛音を爆射する、スウェディッシュ・メタルバンドによる6th。破綻した軌条を猛スピードで走るリズム、既にナニイロなのか解らない彩色で荒ぶギター、空間を捻じ伏せるままに踊るベースと、これらが渾然一体とならず、むしろデタラメな軌道を描きブツカリ弾け砕いてゆく。この上なく獰猛に、全てを喰らい尽くす圧倒的な気配を充満させる反面で、そもそもの行為主の有機性/実体性は極めて希薄なところがなんとも不思議。

ポリリズムと聞くと、小粒な音が精緻に煌びやかに錯綜するサマを思い描くが、メシュガーがここで行う爆音ポリリズムは、ほとんどクラスター爆弾並のエゲツナサで聴神経を殺傷する。その一方で、音密度のバケモノのようだった"Nothing"と比べると、その朦朦たる音の煙幕の中には其処彼処に快なるリフが、昂揚のリズムがクッキリと浮かんでおり、実に直接的に興奮を煽る。つまりはモノスゴクキモチガイイ。

怪気炎を上げる変体のサウンドスケープと、しごくストレートなメタルの快が超自然的に同居。自分のような門外漢でも存分にその魅力を感じ取れる良盤。

http://www.myspace.com/meshuggah