MASS OF THE FERMENTING DREGS/S.T

★★★☆

神戸発、インディー畑でちょっとした狂騒を巻き起こしつつある女子3人によるデビュー(ミニ?)アルバム。全6曲30分。昨年、Helluva他で2度ほど観たライブがなかなかに好印象だったこのバンド。ちょい驚いたことに、ラストの2トラックではプロデューサーに御大Dave Fridmannが付いている。

これ、グランジ通過後のUKロックが「オルタナ」なんて名称で括られていた、90年代初頭の空気感が好きな人には結構タマラン音ではなかろうか。影を纏ったダイナミズムと情感豊かで繊細なフレーズの交雑。更にはそこへ、痙攣気味のリフ/性急に炸裂するカオスな爆音が降り掛かるというイマっぽさまで兼ね備えてる。性急な走りっぷりにだけ焦点を合わせるなら、9mmや凛として時雨なんかとも無理やり結びつけられそうだけど、上記者の半ばトチ狂ったようなトンガリ具合とはまた違う、ある種朴訥とした憑き物っぷりを味わえます、、、って意味わからんか。

鉛色のリフが暴れるTr.1,5,6が好き。"Carnival Of Light"期のRideも思わせる、心地良いダルさを引き摺ったメランコリックな"Skaberry"も良い。9分間のポストロッキンなTr.3"エンドロール"は、悪くはないけどちょい蛇足かな。やはり先の1,5,6みたく、ササクレ立って逆巻く粗さこそ本領か。なんてことない立ち上がりなのに、中途で一気の爆風が全景を総捲りするようなダイナミズムに燃える。爆心地はベース兼Vo.の宮本菜津子。彼女の乱暴なまでの求心力に拠り、殴り描かれる直情的な爆音絵巻。

このアルバムだけ聴くと、正直まだバンドとして力不足なトコロも感じたりしたものの、総じて見ればとても刺激的で、魅力ある作品だと思う。しかしナンだ、つい最近ドラムの女の子が脱退してしまったそうで。うーん、どうなる!?頑張れ!

http://www.myspace.com/motfd