MANATEES/Untitled

★★★☆

Greg/Paull/Alexの3人から成る英国の原初的なヘヴィ・ロックバンドによる1st。重く重くひたすらに重く厚く振り下ろされズシリと拡散し聴神経を侵していく音の、波動。全5曲ノンタイトル45分の音の、嵐。

空間に擦り付けられ引き回される超重塊。衝動のブリザードの後景でナニかが叫び立て、喚きを上げる。陰鬱で閉塞的で埃マミレでトグロを巻く、ドゥーム・メタルの激しいノタウチ模様。何処かの誰かの声明をコラージュし、アコースティックな器楽と共になんともいえんセンチメントを醸す小パートを交え織り込みながら、終局のひたすらな混沌へと邁進していく。

"ドラッグ喰らって爆音で聴きな"
とインナースリーヴに書いてしまっているように、全編に渡ってそっち系の昂揚を煽り奉る、反復し次第に変態していく重々しい音の渦巻きが場を席捲。まだやるのかよ!って突っ込みたくなるドゥルッドゥドゥーなヘヴィ・リフを10分近くに渡ってリフレインするTr.5など、完全に本人達が逝っちゃってる様が目に浮かび微笑ましい。常時携帯するには適さないが、シチュエーションによってはなかなかに心地良い、そんなアルバム。Neurot系のバンドが好きな人には特にオススメ。ちなみにアートワークは、煌びやかでトライバルな小紋に覆われた、昨年観た中でも最も凝った部類の仕様となっており大変美麗です。

MANATEES/Icarus, The Sunclimber

★★★★

英国産Sludge/Post Metalトリオによる2NDフル。前作から三年。三年経ったが相変わらず。相変わらずだが石の上にも三年、、、果たしてセールス的に報われたのか?は不明ながら、変わらずのスタンスで遙かに強度を増したバクオンは、歳月に相応しくその威力を倍加させている。コトワザによれば水滴でさえ石をも穿つが、そもそもが水滴どころでなかったラウドネスの化身は、その怒号のような音圧で鼓膜を震わせ、脳味噌がトロけるような快感を一挙注ぎ込む。

何より、サウンドに拡がりと絞込みのメリハリが効いたのが大きい。一撃で沈める毛むくじゃらの豪腕フレーズに、狂ったように振り切れるフィードバックノイズが絡みつく冒頭"Of Wax And Wing"は113秒間で〆る鮮やかさ。対する"Out Of The Sky, Into The Gutter"は12分超、"The Sunclimber"に至っては15分超で嫌がらせのような無間地獄を展開。前作ではその辺の長さにまだ虚仮脅し的な鈍重さも見えたのだが、今作ではそれがキレイに払拭。まんま「地の底から轟く」を体現するヘヴィネス、あらゆるゼツボウを背負い込んだようなヴォーカルが随所で劇的な震撼を叩き出してくるので面白い。

例えばTr.5"False Sun"で差し込まれるアコギがまるで自分の左隣りで爪弾かれるような生々しい音場を成しており、いわゆる"ドゥーム"なバンドがよくやるオリエンタル色のソレとはまた違った聴感になっているなどなど、ただの"衝動任せ"でない部分を意外やアチコチで感じたりもするのだが、ヘヴィネスの渦中に音階を喪失してしまったかのようなラストのリフレインを聞いてると、あぁやっぱりアタマや人柄が良いとはまるで思えない・・・その下劣さ加減に芯まで腑抜けたのでした。オススメ!

http://www.myspace.com/manateetheband