LOWGOLD/Just Backward Of Square

★★★★

イギリスの4人組、Lowgoldのデビューアルバム。当時HMVでこれを買ったとき、なぜか異様に値段が高かったのを覚えています(3500円ぐらいしたかな)。それでも十分それに見合う内容のアルバムとなっております。

柔らかく柔らかく積み重ねられるギターの音色が印象的なイントロに導かれ、Tr.2では骨太ながらも、聴く者をすっぽりと包み込むような温かさに満ちたサウンドが溢れ出す。彼らの音には不思議な温もりがある。TravisやColdplayが持つ、個々の胸に直接切り込んでくるような内省的な美といったものとは違い、どちらかというとアメリカのバンドに特有な、どことなく懐かしさを感じさせる素朴さと、全てをすっぽりと覆うような雄大な美しさに満ちている。先に挙げたUKバンドの音が好きな人がこのアルバムを聴いて気に入ることはたぶん間違いないが、Lowgoldはそういったバンドのフォロワーと呼ぶには似つかわしくないような、独自の雰囲気を持ったバンドであると言える。淡々としながら、しかし胸に響くDarren Fordの深みのあるボーカルと、抜群の音響処理により様々な表情を見せるギターの音色が、のどかさと緊張感を併せ持った美しい世界を生み出している。個人的なお気に入りは、教会に鳴り渡る鐘の音のようにギターが響くTr.9"Open The Airwaves"。

Welcome To Winners

★★★★

デビューアルバムのリリース後、 リリース元のNudeレーベルが消滅してしまったり、ドラマーが脱退するなどの事態が相次ぎ、 すわ解散かと思われた彼らですが、新メンバーを迎えて素晴らしい作品をリリースしてくれました。

UKバンドらしい憂いのあるメロディーを、UKバンドらしからぬ土臭さを感じさせるゆったりとしたスケール感のある曲風で聴かせていた 1stと比べると、今作ではメロディーの起伏がよりハッキリとしている曲群が多く目に付き、 "We Don't Have Much Time"や"Just A Ride"などのようにアップテンポな曲も増えています。 一聴すると穏やかな雰囲気をまとっているように見えながら、所々でその背後から痛々しささえ感じさせる緊張感を孕んでいた 前作とは大きく異なり、今作ではあくまでも穏やかなメロディーがゆっくりと流れています。 リフレインするギターとシンセの音色、Vo.ダレン・フォードの歌声が一体となって極上のドリーミーサウンドを奏でている "Let Me Into Yours"、Dovesの2ndにも通じるようなこれまでにない突き抜けた展開を見せる"Famous Last Words"など、 アルバムを通して何度も聴き返したくなるような良曲が満載で、個人的には前作以上の愛聴盤になりそうです。



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